読書効果について その3「語彙力」
さて、今日は語彙力についてです。「語彙力(ごいりょく)」も最近では書店に並ぶジャンルの一つとなっていますが、あまり知られていない力でもあります。
解説を含めて、一緒に語彙力について考えていきましょう!!
まずは、前回の[問題]の答え合わせからいきましょう!!
【想像力テストの答え合わせ】
⬇️前回の問題をおさらいしてみましょう⬇️
[問題]
A君は500円をもって、おつかいにやってきました。
1個100円のりんごを2個。
1個30円のみかんを3個。
ついでに、60円のおかしを1個買いました。
さて、A君がもらったおつりはいくらでしょうか?
※ 想像力が重要です。
※ 頭の中で絵にする力を使ってください。
では答え合わせです!!
この問題の答えを出すための順番を確認してみましょう。
りんご 100円 × 2個 = 200円
みかん 30円 × 3個 = 90円
おかし 60円 × 1個 = 60円
これを足すと……
200円 + 90円 + 60円 = 350円
合計が350円であることがわかりました。これを500円から引くと……
500円 − 350円 = 150円
答え おつり150円!!
この答えを出せたあなた……おめでとうございます!! 残念ながら不正解です。
これは、想像力を試すためのいじわる問題です。「150円」の答えを出せた人は、算数の問題としては正解ですが、想像力の問題としては不正解です。
正解は……0円です。
では、問題文から想像力が必要な文章を見てみましょう。
A君は500円をもって、おつかいにやってきました。
ここに想像力を試す鍵が隠されているのです。A君という子が500円を持っているところを想像してください。あなたの財布の中に、500円が入っている状況とは、どんな財布の中身でしょうか?
もうわかった人もいるかもしれませんね。
不正解だった人は「A君が500円」ではなく「A君が500円玉」を持っていると決めつけてしまっていたのです。
正解を出せた人は「A君が10円50円100円などの小銭を合わせた合計で500円を持っている」と考えることができたのです。
私たちは、書いてある文字や文章を見たり、話を聞いたときに「自分の知っているイメージ」を優先して物事を思い浮かべます。この「知っているイメージ」を増やすことで「新しいアイデア」「柔軟な発想」を生み出すことができるのです。
「新しいアイデア」「柔軟な発想」は、成功者と「呼ばれる人が必ずと言っていいほど身につけている能力です。
あなたも、他の人には思いつかないようなアイデアを生み出して成功者の仲間入りができるかもしれません。
【語彙力ってなに?】
「語彙力」はなかなか意味が浸透しにくい言葉です……では、語彙力と似ている「単語力」という言葉と比べてみましょう。
単語力・・・多くの言葉を知っている力
語彙力・・・多くの言葉を知っていて、それを使いこなす力
「あれ? どこかで見たような……」と思ったあなたは勘がいいです!!
これは、以前の「知識」と「教養」の関係に似ていますね。詳しくは過去の記事を⬇️
「でも、語彙力がなくても生活できるのでは?」と思うかもしれません。その通り、生活はできます。しかし、恥をかくことが多くなってしまうでしょう。
次は、例文を見てみましょう。あなたも、使っている言葉かもしれませんよ?
【語彙力の例文】
[例文]
Aさん「この前のあれ、やばくない?」
Bさん「あれな! やばかった!」
Aさん「鬼やばかったよね」
Bさん「わかりまくるんだけど!」
私にはなにもわかりません……
語彙力の低い会話は、身近な人には通用するかもしれませんが、先輩や上司には失礼にあたります。恥をかくことは言うまでもないでしょうし、後輩や部下からバカにされる恐れもあります。
会話をしている最中に「あれなんだっけ……」「なんて言えばいいかな……」なんて言葉に詰まってしまう人の原因の1つも語彙力の低さが影響していると言えるでしょう。
文章を書くときにも語彙力は力を発揮します。また例文を見ていきましょう。
[例文]
「うまく言葉にできないけど感動した」
「文章がまとまらないけど 〜だった」
「すごいとしか言えない」
うまく言葉にできなければ、言葉にできるように語彙力を身につければいい。文章がまとまらないのであれば、うまくまとまった文章を見るようにすればいい。すごいとしか言えないのであれば、「すごい」以外の言葉を知ればいい。ただそれだけなのです。
例えば「美しい」という言葉は、「素敵」「綺麗」「端麗」「秀麗」など二字熟語だけでも探せばいくらでも出てきます。
しかし、辞書で言葉を調べても日常で使わなければ意味がありません。
小説には登場人物が日常会話として、様々な言葉をセリフとして使っています。語彙力を身につける方法は読書だけではないかもしれませんが、本は「どんなときに使う言葉なのか?」を示してくれるので、優しく語彙力を学ぶことができるツールになります。
語彙力は、身につけよう! と思わずに本を読んでいると自然と身についてくるものでもあるのです。
【大人が教えるべき語彙力】
私が学生の頃から、「若者言葉」というものがあります。小学生の頃は「チョベリバ」「チョベリグ」の世代でした……(古すぎるか……)
この若者言葉が生まれる原因は「子供たちの大人に対する反抗心から生まれる」ということが一説にあるようです。
大人がわからない言葉を使うことで、子供たちだけのコミュニティを作り出して反抗しているのですが、若者言葉を使っている子供に対して大人は「今時の若いものは……」「正しい日本語を使いなさい」とよく言いますね。
しかし、残念なことに日本語が乱れてきたのは今に始まったことではありません。あなたが日常で使っている言葉も間違った意味で使っているケースがあるでしょう。多くの作家が嘆いているのが「確信犯」という言葉の使い方です。
ぜひ、「確信犯」の本当の意味を調べてみてください。驚くと思います。
本を書く作家たちは「確信犯」の本当の意味を知っています。しかし、間違った意味が世間に浸透しているために「確信犯」という言葉は本の世界では使いづらい言葉になってしまったのです。
私たち大人は子供たちに「正しい日本語を使いなさい」という前に自分が正しい日本語を使う必要がありますし、子供たちに「本を読むことで語彙力が身につく」ということをしっかりと教えてあげなければいけないのです。
私も語彙力については、まだまだ勉強不足です。というよりも、語彙力をパーフェクトに身につけることは不可能かもしれません。それでも……いやだからこそ、私は語彙力は磨き続けるべき力だと思っています。
【まとめ】
今日のテーマは語彙力でした。終盤に出てきた「確信犯」という言葉の意味……是非調べてみてください。
日本に生まれて日本で育っているのに、日本語を極めることは難しいことだと痛感している私ですが、調べていくほど奥が深く楽しくなります。
多くの言葉が本来持っている言葉の意味を失う前に読書をして正しい日本語を知り、語彙力を身につけることは日本人の使命だと思っております。
CO-2N