CO-2N研究所

勉強ではなく、好きなことをとことん研究する場所。主に「演劇」「読書」について

発声の落とし穴にはまるな!!(4)

前回は、背骨にフォーカスした姿勢について書かせていただきました。今回は筋肉についてです。

 

おさらいは⬇︎の記事で・・・

 

 

co-2n.hatenablog.com

 

③「腹筋を使って大きな声を出しなさい!!」

 

発声練習での危険なワードで1位に君臨してもおかしくないワードですね。腹式呼吸と胸式呼吸については、次の記事で書きます。

なぜ、現在の発声練習でも「腹筋を鍛えろ!!」であるとか「腹筋に力を入れろ!!」という指導者の声が飛ぶのでしょうか? 私は腹筋がバッキバキに割れていて、またはトレーニングをして声が大きくなったり、美声になった人を知りません。

 

まずはご自身で試していただきたいことがあります。

腹筋をしながら「あーーー」でもなんでも良いので声を出してみてください。大きな声でなくて構いません。

 

 

 

 

 

 

どうでしょうか? 物凄く出しにくくないでしょうか? 声帯にも負担がきませんか? なので腹筋を使って発声をすることは声帯への負担が大きく、危険なことがわかります。しかし、合言葉のように「腹筋!!」と言われるのには理由があります。それは、指導者が腹筋だと思って鍛えるように言っている身体の部位は横隔膜のことだからです。

 

「なんか聞いたことあるな〜」と思われる方が多いと思いますが、自分の身体のどこに横隔膜があるのでしょうか?

 

(図1)

 

f:id:CO-2N:20180926114422j:plain

 (図1)前から見た時の横隔膜がついている場所になります。

 

 

(図2)

 

f:id:CO-2N:20180926114558j:plain

 

(図2)は横から見た時です。

 

ドーム型に鳩尾(みぞおち)からへそ裏にかけて斜めについています。

内臓系だと肺・心臓と肝臓・胃を分断するようについています。

 

横隔膜は膜という言葉が入っていますが、筋肉です。随意(自分でコントロールできる)の部位なので、鍛えられますし指令を出して動かすことが可能です。しかし、これも私が解剖学を学んだり、本を読んだことによって理解ができました。そこまで学んでいる指導者が多くいないことが事実です。それによって、

 

お腹にある筋肉 = 腹筋 ➡︎ 腹筋を鍛えろ!!

 

と変換されてしまうのです。

 

指導者の方でも横隔膜を効果的に使い、発声として正しく自身が声を出せる方も大勢いらっしゃいます。しかし、自分で横隔膜を使っている自覚がないのです。もちろん、皆さんが「先生、それは腹筋ではなく横隔膜ですよ?」なんて稽古場でいうことができないのは理解しています。なので発声練習で「腹筋」というワードが出てきたら、「横隔膜のことを言っているな・・・」と自分の脳内で変換すると良いでしょう。

 

 

とは言うものの横隔膜ってどうやって鍛えるの? と思われるでしょう。発声のトレーニングはまとめで全部書きます。しかし、横隔膜の位置がわからないと理解するのが困難かと思いますので、横隔膜の動きをチェックする方法だけ書きます。

 

〈横隔膜の動きチェック〉

犬が興奮した時に舌をだして「ハッハッハッ」とやっているのを思い浮かべてください。私たちは人間なので舌は出さなくて結構です(笑)

ドッグブレスという練習方になりますが、この時に鳩尾(みぞおち)をさわると固くなっているのが横隔膜です。動いているのは、横隔膜の動きによって押し出される内臓です。

 

 

腹筋を鍛える = 大きな声

 

にならないことはご理解いただけたかと思います。自分も学生時代に必死になって腹筋をしたのに声に変化がなく、頭を悩ませたことが懐かしいです。正しく体を理解しましょう。腹筋を鍛えることは、前回の姿勢に影響を与える効果の方が大きいです。鍛えておくにこしたことはありません。

 

次回は、いよいよ登場します・・・腹式発声です。発声とは切っても切り離すことのできないものなので、それまでに今までのおさらいをしておきましょう。

 

 

 

 

CO-2N