CO-2N研究所

勉強ではなく、好きなことをとことん研究する場所。主に「演劇」「読書」について

『学校の「当たり前」をやめた』

 タイトルにある書籍に感銘を受けて、ただ紹介しようと思っていただけでしたが、このタイミングで社会問題がニュースに取り上げられたので、書かせていただきます。

 

 都立町田総合高校の体罰問題です。

 

※「都立町田総合高校と都立町田高校は別の学校です」

 

 

 

 

 

【事件について】

 

 これだけニュースになれば知らない人はいないかも知れませんが、都立町田総合高校の生徒と教師が廊下で口論になり、教師を言葉で挑発した生徒に対して、教師側が暴行を加えたというのが概要です。

 

 生徒側は悪意を持って数人の仲間と計画的に教師を陥れることを考えていたようで、動画を見ると「炎上させようぜ」という肉声が残っています。

 

 教師が生徒に暴行を加えた瞬間に生徒は失神してしまい、それでも怒りの収まらない教師は暴言や暴行を続けてしまいます。やがて不審に感じた生徒が教室から出てきて教師を止めに入ります。

 

 現在、教師は学校に出勤はするものの授業は行わずにいるとのことです。

 生徒は口を切る怪我と打撲をしているようです。

 

 

【私が思う問題点】

 

 ニュースを見る度に悲しかったのは「どちらが悪いか?」を議論する場が多いように感じます。私にとって、それはあまり重要なことではないからです。

 なぜなら、動画が全て公開されても「どちらも悪い」という結論にしかならないからです。

 教師を挑発した生徒も悪ければ、手を出してしまった教師も悪いです。どちらが悪いかを決めたところで、先に進むことはありません。

 

 私が注目したのは、以下です。

 

・ 途中まで動画に映っていた二人の後方にいる大人

 

・ 止めに入った生徒

 

・ 口論の内容

 

 この三つです。

 

 

【見ていただけの大人】

 

 動画を見た方はわかると思いますが、後方に顔にモザイクがかかっているとはいえ、服装と背格好から学生ではない人が映っています。

 私はその大人がずっと二人を眺めている様子が気になって仕方ありませんでした。

 

 学校での立場の問題があって口を挟めなかったのかもしれませんが、彼は口論の最中に二人の様子を眺め、途中で奥の教室? 部屋? に入り、姿を消します。ここまでは理解できます。

 よくある教師と生徒の言い争いで、暴行にまで発展するとは思わずに放っておけば解決すると思ったのでしょう。(かなりの喧騒で生徒が感情的になっていたので、ここで止めても良かったかも知れませんが・・・)

 

 その後です・・・教師は怒りが沸点に達し、右ストレートを生徒の左頬に当てます。ここで教師の声が廊下に響き渡ると再び奥から同じ大人が姿を現します。今度は体を半分だけ出しています。

 

 しかし・・・様子を眺めているだけで、止めに入る気配もありません。

 

 

【勇気を出した生徒】

 

 大人よりも先に教師を止めに入ったのは生徒でした。動画だけでは隣のクラスなのか、同じクラスなのか判断できませんでしたが、私はその生徒の姿に感動を覚えました。

 「先生、それは良くないです」と言った生徒は教師から「やかましい!」と言われますが、それでも屈しません。

 

 高校生は体つきも大人になる年頃ですが、心はまだ子供です。大人が感情をあらわにして激昂している姿は「怖い」と感じて当然です。それでも自分の中にある強い意志や正義感が彼を突き動かしたのだと思います。

 

 彼が止めに入ったときに、女子生徒1人男子生徒が彼を含めると、3人いることが確認できます。

 

 その奥で見ているだけの大人・・・私は、この事件は周囲の人間によって防げることができたのではないか? と思うと同時に、勇気を出して止めた生徒と止められなかった大人の構図こそ、注目しなければいけないと思っています。

 

 

【ピアス? 病気?】

 

 とは言っても、このような事件になってしまったことに今更「たられば」を言っても仕方ありません。

 

 そもそも口論の原因はなんだったのでしょうか?

 

 発端は校則を違反していたことだそうです。ピアスをつけていた生徒に対して指導していたというのが現在は公になっている情報です。

 教師たちの間ではその生徒が何度注意してもピアスを外すことがないから「あいつは病気だ」ということが言われていたようで、動画にも「病気」というワードが出てきますが、これは私もネットでしか確認できていないので、正確ではありません。

 

 しかしピアスが絡んでいることは間違いありません。

 

 

【私自身の思いから、書籍へ】

 

 皆さんも学生時代に校則に縛られた経験があることでしょう。

 

「髪を染めてはいけない」

「ピアスやアクセサリーは身につけてはいけない」

「スカートの長さ」

「靴は白い無地のスニーカー」

「カーディガンの色の指定」

「靴下の色」

「タバコを吸ったら停学、または退学」

 

 これ以外に、もっと厳しい校則は探せばたくさんありますね。面白い校則を集めた本まで販売されているのを見たことがあります。

 

 私は校則を違反すると先生に注意されることが面倒だったので、守っていた生徒でしたが、いつも疑問を持っていました。なぜ髪を染めてはいけないのか? なぜアクセサリーを身につけることはダメなのか? なぜ白い無地のスニーカーでなければいけないのか?

 

 理由が全くわからなかったのです。

 多くは「身だしなみを整える」「規律を守る練習」「社会に出て恥をかかないため」などと言われましたが、それをいうなら教師も身だしなみを整えて黒髪にするべきだし、アクセサリーも外すべきだし・・・それをしている教師は社会で恥をかいているのか?

なぜ「学生だから」という理由でやってはいけないのか? 明確な理由がわからぬまま、学生時代は終わっていました。

 

 

「明確な理由」というのを説明できる大人がいるのでしょうか?

 

 

 タバコも同じです。これは法律に関わってきますが・・・

 なぜ「未成年がタバコを吸うことがダメなのか?」19歳で明日誕生日を迎える人間が1日前に吸えば処分されます。しかし、1日後の20歳では法に認められます。不思議で仕方ありませんでした。

 

 理由がないのに縛られることに気づいた生徒が反抗する気持ちもわからなくありませんでした。しかし、わざわざ叱られることをわかって、校則を破る生徒の気持ちは理解できませんでした。

 

 私が今回読んだ『学校の「当たり前」をやめた』という本は、千代田区麹町中学校長の工藤勇一さんという方が書かれた本で・・・

 

 

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「宿題の廃止」「クラス担任の廃止」「中間・期末テストも廃止」

 

 など、今までの学校の常識を変えてしまった内容が書かれています。

 

 そして、この本が今まで私が抱えていた学校という教育機関の謎を解決してくれるきっかけとなりました。

 

 「こんなにも子供のことを考えてくれる大人がいるのか・・・」と感動しました。

 

 この本に出会ってから今回の都立町田総合高校の事件を見ると、違う視点で問題を考えられるようになりました。

 最近読んだ本では、ベスト3に入る本であることは、間違いありません。