自分だけの情報
人間は、自分が新たに得た情報を他人に話すことに「喜び」を感じます。これは演技においてとても大切なことです。
『日常での知識披露』
皆さんも日常で「昨日の◯◯みた?」などと会話をしないでしょうか? 一昔前に流行った「雑学」を知っている人たちは皆、話しているときに得意げであったり、笑顔ではなかったでしょうか?
人が知らない情報を共有することで相手が「そうなんだ!」「知らなかった!」と思えば人間は嬉しくなるのです。
(それがあまりにもしつこいと鬱陶しくなってしまうのですが・・・)
しかし、その情報源がどこから得たものなのか? がとても重要です。ネットの情報を鵜呑みにしてはいけません。
『情報の真実』
演技をやる上で、台本に書いてある言葉で自分の知らない言葉は一つもあってはいけません。これは当たり前のことなのですが、調べない人が多いのが悲しい現状です。人に何かを伝えるときに、自分の知らないことを話すのは不可能ですよね?
歴史に詳しくない人が江戸時代について語ることはできません。
しかし、それが単語になると「ごまかせる」という思考になり「なんとなく、こんな感じかな?」と雰囲気で芝居をしてしまいます。
それを調べないことによって、あなたは自信を持ってセリフを発するチャンスを逃してしまうのです。
そして、今まで当たり前のように使っていた言葉に違う意味があるとしたら? それを知ったあなたの演技は変わっていくでしょう。演技の幅が狭い人は、知識不足です。
ネットでなんでも調べられる時代ですが、注意が必要です。ネットというのは「誰か」が記事を書いています。その目的は多くの人に読んでもらうことです。つまり、視聴率を気にして書きます。
真実より話を大きくして書くことや変化を加えることで「面白そう」と思わせる内容になっています。これはテレビや新聞も同じです。
またかよ・・・と思われるかもしれませんが、本という媒体が信用性が最もあります。
理由は「編集者」という人間の存在です。出版社の看板を汚さないために「真実」を世に広めないといけません。
ある小説家さんの話で「主人公を朝の8時何分かの電車に乗った。という文を書いたら、編集者のチェックでその時間に発車する電車が存在しないためバツを入れられたことがあった」と書いてあり、私はチェックした編集者の方に拍手を送りたいと思いました。
もちろんネットやテレビや新聞の情報が全てデタラメだとは言いません。しかし、あなたに正しい情報を身につける癖ができると、正誤の判断力が上がり、正しい知識を身につけることができるようになります。
『丸腰で来るな!!』
「これってどういう意味ですか?」と台本を渡して二週目のレッスンで言う生徒が稀にいます。一週間なにをしていたのか・・・と残念な思いになりますが、これは外の現場で演出家や監督に言った場合、今後、仕事が来なくなるでしょう。
役者は演出家や監督の期待を良い意味で裏切らなければいけません。これは役者に与えられた課題です。
私も教える場で、生徒が素直で真っ向勝負をしてくれると熱くなります。
「もっとこうしてみよう!」
「今度は違うやり方で!」
と多くの提案を出せます。
私は学生時代に「厳しい指導者」に出会う機会がとても多かったです。そこで萎縮してしまう生徒が多い中で「絶対にあの先生を驚かせる!」と意気込んで勝負しました。結果、今でも連絡を取り合い、仕事でもお世話になっています。
表現者であり続けるには、他人の持たない武器(知識)を備えた上で稽古場に向かうべきです。
これをできる生徒は本当に少ないです・・・
『知識量がものを言う』
生徒の中には「そこまで考えてきたのか?」と思わせてくれる人もいます。そのような生徒のわかりやすい成果はセリフを相手に投げる強さが違います。演技は実に抽象的な表現が多いですが、見ている人に「なにをしているのか?」「なにを伝えたいのか?」が分かれば勝ちです。
選挙に受かりたい人が必死に演説している姿を見たことがあるでしょう。
内容が優秀でも、淡々と機械のように話しているのでは、聞いている人の気持ちは動きません。
「選んでほしい!」と願い、自分の思いを伝えたい! という気持ちが言葉に変換されたとき、人の心を動かすのです。
知識を身につけ、自分の思いを伝える術を身につければ、演技は上達し、楽しいものとなります。
『まとめ』
これだけ書いても行動に移せないのが人間です。多くの本が出回っているのに、同じような内容の本が続々と出版されるのは、読み手が行動をしないからです。堀江貴文さんも「この手の本は書きたくない」と前書きで書いている本があります。
行動するかどうかは、あなた自身が決めます。
それがあなたに必要かどうか? それはやってみてから決めるべきです。