演技が上手い役者とは?
今回は「演技の上手い役者とは?」というテーマで進めていきます。
このブログ内では「俳優」ではなく「役者」と記します。この二つがどう違うかは、後日改めて・・・本題に進みましょう。
いくつか質問をしますので、皆さんも気軽な気持ちで考えてみてください。
1 演技が上手いと思う役者さんは誰ですか?(一人だけ)
2 その役者さんを好きな理由は?
3 その役者さんの魅力は何ですか?(できるだけ具体的に)
4 その役者さんの次に、演技が上手いと思う役者さんは誰ですか?(同性で)
5 一番上手いと思う役者さんと、二番目の役者さんの違いは何ですか?
さて結果はどうだったでしょうか?
心理テストではありませんので、考える過程が大切です。多くの方が頭を悩ませたことでしょう。
私も生徒に同じ質問をすると、生徒は「2」の答えで少し考え込み「3」では無理やり答えをだして「5」は沈黙してしまう流れがお決まりです。そして名前の挙がる役者さんも人によって違います。
この質問を生徒にしてみてわかったことは、演技が上手い役者は自分の主観でぼんやりとしか把握しておらず、その人のどこに魅力を感じるのか? まで考えたことがない生徒が山のようにいることです。しかし!! そこを研究できれば、その役者さんに近づく手段が見えてくる可能性があります。
よって、演技上達で一番最初にやるべきことは・・・
「研究心を強く持つ」
ということです。発声練習ひとつを見ても、レッスンの度に意味もなく同じ言葉を繰り返していて上達するのであれば、誰でも大きな声を簡単に出せるようになりますね。演技の技術に限らず、芸術の分野では・・・
「言葉で表現できない」
という言葉が頻繁に使われ、感覚で教えること、教わったことが多いと思いますが、それを具体的に理解しないと永遠に感覚だけに頼ってしまい、自分がなぜ声を大きく出せるのか? という疑問を抱いたままです。(それでも通用してしまう人もいるのですが・・・)感覚人間を全否定するわけではありませんが、感覚人間のデメリットを挙げておきましょう。
・ 発声練習では大きな声が出るが、本番前で声帯を痛めたとき、対処ができない。(自分の身体で何がおこっているか理解していないから)
・ 人に教えることができない。(自分が理解していないから)
・ できない人にイライラする。(教える言葉が用意されていないから)
・ 本番が長く続く公演だと、好不調の波が激しい。(雰囲気で芝居をするから)
挙げていくと、きりがないのですが、私の考えでは「あの人、何かわからないけど素敵だった」「何かわからないけど良い作品だった」という言葉を使って良いのは、お客さんまでだと思います。自分がそう他人に褒められた時に、なぜそう見えるのかを狙ってできているのか? 偶然なのか? これはとても重要な要素です。狙っているのであればとても優秀な役者だと私は思います。
よく使われる言葉ですが「華がある」って、とても抽象的な言葉ですよね。どうやったら自分も華のある役者になれるのか? 考えて損はないと思います。イケメンや美人でなくても「華がある」ってよく言いますからね。
話を戻し・・・最初の質問、東大入試より難関な問題ではなさそうですよね? 考えたことがないだけです。
時間が経てば「あの人の魅力はこれだ!!」と思いついたり、必死に考えれば必ず答えは出ると思います。それは、自分の中でしか答えがないからです。演技の技術は
「研究心の強さ」で差が出ます。
タイトルの「演技の上手い役者とは?」ですが、ブログ開始2記事目にして、否定されそうなことを書きますが演技が上手い役者とは・・・
「その人の主観であり、測定基準はない」
が私の出した答えです。
「街の人100人に演技が上手い役者さんを聞きました」のアンケートをやっても、全員が同じ役者さんの名前を挙げることもなければ、有名演出家でも同じ人を挙げることは少ないでしょう。演出家が良いと言っても、お客さんに演技の上手さが伝わらない役者さんも沢山います。(難しい世界です・・・)
一番最初に自分が挙げた好きな役者さんは「自分が憧れている役者」と紙一重かと思います。是非、研究心を磨く練習だと思い、必死に考えて、答えを導き出してください。
それでは「研究心」を使う宿題をひとつ出しておきましょう。
1 あなたの好きな映画は?
2 その映画を好きな理由は?
3 その映画の何を人に勧めますか?
CO-2N