CO-2N研究所

勉強ではなく、好きなことをとことん研究する場所。主に「演劇」「読書」について

あなたにはわかりますか? 華のある人の「華」は具体的に何なのか?

役者でなくとも耳にする

 

「あの人は華があるよね・・・」

 

という言葉。芸術の分野ではどうにも抽象的な表現を好むことが多いのですが、これも私が引っかかる代表的な例です。そもそも、華って何ですか? でも言わんとしていることはわかります。

こんなことを言っている私でも華のある人には沢山ご縁がありました。役者だけでなく様々な業種の方がいらっしゃいますが、やはり職業柄しっかりと覚えているのは役者の方が多いです。違う言葉で言い換えるとしたら「魅力的」というのが最適かもしれませんが、この「華」を自分の武器にできたらこっちのもんですよね? 今日も研究と分析をしていきましょう!!「魅力的」という言葉も抽象的ですね・・・

 

 

 

 

 

花と華の違いや語源は?

 

なぜ華と書くのでしょう?

 

花・・・主に植物に実る花を指し「花びら」「桜の花」「生け花」などに用いる。

 

華・・・「花が美しく咲き乱れる様」などと花に関するものを抽象的に表現するときに用いた。「華やか」「華々しい」

 

つまりは根本が抽象的なものということらしいですが、歌舞伎の世界で面白い話が・・・

 

優れた芸を花で例えていたという。歌舞伎の一座でも人気者は「花形役者」と呼ばれていた。そして昔は歌舞伎役者を「花」と呼ぶことから転じて「華」に変化していった。元々は芸事をする人にのみ使われていた言葉のようですね。

 

 

あなたの周りにいる華のある人とは?

 

研究と分析をするには、あなたの身近にいる華のある人を思い浮かべましょう。さて、どんな特徴がある人でしょう? 「華があるな・・・」と思ってしまうところで多くの人が分析を止めて結果として終わらせてしまいます。そこを深めることによって、あなたの中で「華のある人は○○な人だ!!」と研究成果を出せるのです。役者を志す人は特にこれが必要です。

 

さて、どんな特徴があるでしょう?

 

 

 

パターン1「舞台役者Hさん(女性)の場合」

 

とても不器用なタイプのHさんですが、楽観的なHさんの周囲には常に人が集まります。人気者という言葉が似合うタイプです。彼女は特別に演技が上手というわけではなく、ダンスなどの身体表現も苦手としています。しかし稽古場で演出家が手を叩き、シーンの稽古が始まると目つきがガラッと変わり役者モードのスイッチが入ります。相手役をやっていても、その目つきに飲み込まれそうになる程の目力があります。目つきだけでなく、所作までもが美しく堂々としています。周囲の人は彼女を「華のある役者だ」と言いました。

 

 

 

 

パターン2「ダンサーTさん(男性)の場合」

 

彼はとてもネガティブなタイプです。しかし音楽がかかり、踊りだすとネガティブな要素は垣間見せないスーパーダンサーになります。

彼の特徴は美意識の高さです。どうすれば自分が格好良く見えるのか? を考えて鏡の前で様々なポーズや角度を研究しています。周りからは「ナルシスト」と呼ばれていますが、本人は気にしていません。それをネタにできる一面もありますが、ネガティブな自分に少しでも自信をつけるための努力は怠りません。

 

 

 

 

パターン3「シンガーSさん(女性)の場合」

 

彼女は日常生活から「派手!!」という言葉がよく似合います。高身長でスタイルの良いSさんは、自分のことをよく理解していて服装なども自分にしか着こなせないような服を好んで着ます。それもセンスが良いのに誰も真似しようとはしません。きっと似合わないことを周囲は察知するのでしょう。その派手さはパフォーマンスにも表れています。自信に満ち溢れた表情で様々な歌を歌い上げます。

 

 

  

共通していることは?

 

今回は表現者に絞らせていただきましたが、会社員の方や店員さんでも華がある人は街にもいますよね? 芸能人も街中でスカウトされてデビューした人はスカウトする人が街にいる多くの人の中から声をかけるということも、イケメンだから、可愛いから・・・だけではないことは確かです。容姿端麗でも華がないと思う人も周りにいませんか? 

 

私が思う華のある人は上記の3名を含めて分析していくと・・・

 

「圧倒的な集中力」

「自己分析をする力」

「長所を活かす力」

 

の3つかと思います。これを持ち合わせている役者さんは舞台に立つ時に堂々としています。見ている人は自信なさげに舞台に立つ人には目もくれません。または逆に悪目立ちに目が行きます。

しかし、私は上記3つを全て揃える必要はないと考えています。どれも平均値でできるより、どれか一つが人より飛び抜けている人が華を手に入れることができるものだと思います。

 

 

 

 

結論から言うと、華のある人とは・・・

 

 

「存在感のある人間」

 

 

であると思います。しかし勘違いしてほしくないことがあります。役者にはそれぞれの適材適所があります。全員がジュリエット役候補ばかりでは演劇は成り立ちません。素敵な脇役や、憎まれる悪役などバランスがあります。華がなければ役者をやってはいけないという法律は存在しません。今回の記事では皆さんに華のある人はどんな人か? と考えていただくのと同時に、自分が役者であるためには何を磨くべきなのかを考えていただく時間になれば本望です。

 

存在感を示すためには自信が必要ですね。自信を持って舞台に立つ人間には「私を見ろ!!」という気持ちが芽生えますが、自信がなければ「私を見ないで」と心で不安を抱えながら立つことになります。人に見られる仕事であるということは、人前に出ても恥ずかしくないという自信を持つ必要があります。それは決して生まれ持った先天的な才能だけではありません。皆さんが知っている芸能人は全員がそうでしょうか?

 

「自分は華がないから役者の才能がない・・・」なんて考えは捨てて、自分の役者としてのレールを今後どう引いていけば良いのかじっくり考えることが時間の有効な使い方なのです。

 

 

 

CO-2N

 

 

なぜ読書は大切なのか?

前回の発声シリーズでボイスを載せることに成功しました。形式を変換したりと時間がかかってしまいました。

 

本日は役者が読書を勧められるのはなぜか?

 

と言うことについて考えていきましょう・・・

 

 

 

 

 

【読書との出会い】

 

皆さん稽古場で「読書をしなさい」と講師の方に言われた経験はありますか? 私は昔からよく言われました。しかし、当時の私は根っからの読書嫌い・・・活字を見ただけで本を投げ捨ててやりたくなるくらい漫画かゲームの人生でした。

 

しかし、役者には「台本」が付きまとう作品がほとんどで、活字嫌いは致命的です。演劇論の座学で、かなり優しく講義をしてくださっていた教授が

 

「活字嫌いな人は、いますぐ役者をやめなさい!!」

 

と言った時は、さすがに夜まで悩んだ末に本屋で小説を買いました。文庫本を一冊読み終えるのに 一ヶ月以上かかりましたが不思議と達成感があり、役者としての遅めの一歩を踏み出した瞬間でした。しかし読むペースも上がらなければ、毎回非常に疲れます。

それなのに読み終わると次の本を買いに行く習慣が身につき、10年以上も本は財布を持ち歩くくらい日常に馴染んできました。

 

 あの教授の言った一言で使命感で読んでいた本でしたが

 

読まなければいけない < 読みたい

 

と自分の中で変化したことがわかりました。O教授には感謝しています。

 

 

【読書の効果は?】

 

しかし!!!! じゃあそれで演技が上手くなったのか?

 

正直に申し上げて、読書するだけで演技が上手くなるのであれば苦労しません。月に20〜30冊も本を読む人がいるような世の中で、その人たちを集めて演技をしてもらっても、決して演技派集団が完成するわけありません。それは皆さんもわかるでしょう。

 

学生時代は、どの演技講師にも「読書をしなさい」と言われ続けましたが、誰もその理由は教えてくれませんでした。

 

「小説は台本に書いていない登場人物の感情が描かれている」

 

と言われたこともありました。確かに小説は、台本より状況の説明や補足の分は多いですが、それを読んだことで台本の理解が早まったり、演技が上手くなることに直結するとは思いませんでした。

 

読書は小説のような物語だけに絞る必要はないと思っています。ビジネス本や、絵本だって、読書に変わりはありません。知識が多くて損をすることはありませんので。

 

私は役者を志したことをきっかけに本を読み始めたので、普段本を読んでいる人と読んでいない人の演技の違いは何なのか? を常に追求してきました。その結果・・・

 

1 高い集中力

2 リアクション

3 台本読解力

 

この3つは確実に読書をしている人は優れていました。

本に関しては自分の選り好みで好きな作家やジャンルを偏らせても問題ないと思います。大切なことは、映画の時にも書きましたが「何を面白いと感じたか?」「どこがつまらなかったのか?」を考えることです。

 

 

 

【本の選び方】

 

「オススメの本を教えてください」と言われることも多くなってきましたが、正直これは絶対!! と私が思う本以外は勧めません。私にとって面白くても、その人にとって面白いのかは別です。人によって今読むべき本とそうでない本が存在します。ベストセラーになった『嫌われる勇気』は私にとって、発売された当初は「今読むべき本」ではなく、書いていることは理解できても響くものが少なかったことが事実です。数年後にベストタイミングで読み返してみると、印象が全く違う本になったのです。友人と喧嘩した時には見たくない映画や、失恋した後に聞きたくない曲があるのと同じことだと思います。

 

私はその人にとって必要である本を勧められるように気をつけています。

ちなみに書店で本を探す際・・・

 

1 表紙

2 目次

3 前書き

4 必要であれば最初の3ページ

 

を見て、すべて自分の独断でクリアしたものを購入するようにしています。目次で大体判断できるようになると思います。

小説の場合は、本の背表紙と最初の3ページで判断します。

中を開いて、あまりにも字が詰まりすぎて読みにくそうだったり、言葉の言い回しがしっくりこない場合も棚に戻します。この判断は個々で変わってくると思いますが、集中して読める自信がない本は挫折しがちです。レイアウトなども重要な要素だと考えます。

私は書店では目的の本がある状態で行くことが多いのですが、ついつい足を止めて見てしまうことが・・・毎回です。

 

 

【これはオススメ!!】

 

読書好きは「もっと早く読めればたくさんの本を読めるのに!!」

読書嫌いは「活字は苦手で時間かかるなら読みたくない!!」

 

と思うでしょう。つまり、どちらの悩みを解決するにも

 

「速く読みたい!!」

 

が鍵になります。これまでに速読の本は何冊も読んできましたが、どれもしんどい練習が必要で、これなら普通に読んだ方がいい・・・と諦めて自分の無理しないペースで読んでいましたが、今回の本は素晴らしかったので、紹介しましょう。ようやく審査も通り、当初予定していた本の紹介もできそうです。

 

速読に日本チャンピオンがいたこと、そんな大会があることも知りませんでしたが、角田和将さんという著者が書いている内容は、ただ速く読むことのコツだけでなく・・・

 

 

・ 早く読んでも覚えられるのはなぜか?

・ 学校で習った読書術の落とし穴

・ 高速で読むと、脳で何が起きる?

・ なぜ日本人は音読をする?

 

など、しっかりと科学的にも研究されている結果をもとに速読のことを書かれています。これは速読の教本ではなく、タイトル通り「読書術」を学べる秀逸な本だと思います。友人も一日かからず読み終えてしまったと感想を聞かせてくれました。

これから読書をしてみようかと思っている方も、読書が苦手な方も、すでに読書家の方も・・・今後も様々な本の紹介していくかと思いますが、最初は読書をすることについて教えてくれる本にさせていただきました。 

 

 

 

発声練習は何をすればいいの?

前回まで、長い長い5回にわたる発声の落とし穴シリーズを読んでいただきありがとうございます。今日は実際に発声の練習方法を書きます。

 

 

学校の勉強と違って、演技を家で練習をすることは難しいですよね? 声を出したら親や兄弟に怒られる環境がある人・・・近所迷惑になる人・・・カラオケに一人で行くのはお金がかかるし・・・ましてや、練習したい台詞が殺人鬼の役だとしたら、演技の練習だと知らない他人が聞けば、事件かと思われますね・・・防音室が家にあり、環境が整っている人でも「どんな練習をすればいいのか?」という疑問は尽きないと思います。

 

それでは、前回までの記事を踏まえて具体的な練習方法をご紹介していきましょう。

 

 

 

 

ウォーミングアップ

 

【ロングブレス】

《目的》  

横隔膜のコントロール 腹筋の脱力

 

1 仰向けに寝て、身体は脱力。

2 両手を鳩尾(みぞおち)に置く。

3 腹式で息を吸う。

4 「スー」と音を出しながら息がなくなるまで吐いていく。

5 繰り返し

 

《ポイント》

「スー」と吐き出していくときは腹式で作ったお腹の張りをへこませないことを意識して最後まで吐き切る。

 

体内の呼吸がなくなるとお腹がへこんでいくのは身体の構造上、仕方ないことですが、お腹を張ろうと頑張ってくれるのが横隔膜です。決して腹筋の力ではありません。

 

慣れてきたら、立った状態で同じことをします。

 

 

 

ロングトーン

《目的》

横隔膜のコントロール 腹筋の脱力 首回りの脱力

 

1 仰向けに寝て、身体は脱力。

2 両手を鳩尾(みぞおち)に置く。

3 腹式で息を吸う。

4 「ズー」と音を出しながら息がなくなるまで吐いていく。

5 繰り返し

 

《ポイント》

「スー」のときと同じく、お腹がへこんでいかないように横隔膜でキープ。

 

「ズー」と音を出すことにより声帯が振動する作業が増えるので、首回りもリラックスさせる。

 

これも、慣れてきたら立った状態で行う。

 

 

 

共鳴部のトレーニン

 

【ハミング 鼻腔共鳴】

《目的》

声帯の準備体操 鼻腔の共鳴をつくる 音程にとらわれずに脱力

 

1 仰向けに寝て、身体は脱力。

2 両手を鳩尾(みぞおち)に置く。

3 腹式で息を吸う。

4 唇を閉じたまま「んーー」とハミング(鼻歌)をする。

5 繰り返し

 

《ポイント》

低い音から順番に高い音へ音程を上げて行う。

 

あごを引いたり、喉の力で声を作らないように。

 

低い音は胸。高い音は頭に振動が伝わっていることを確認する。振動が確認できなかった音は喉や首に力を入れてしまっている証拠。

 

 

 

【トワング 口腔共鳴】

《目的》

声帯のストレッチ 口腔の共鳴をつくる

 

1 仰向けに寝て、身体は脱力。

2 両手を鳩尾(みぞおち)に置く。

3 腹式で息を吸う。

4 「ニャーオ!!」と猫が喧嘩をしているときの声を出す

5 繰り返し

 

《ポイント》

猫の「ニャーオ!!」出川哲朗さんの「ヤバイよヤバイよ」などを参考に。

 

胸式に息が入りやすいですが、腹式で行う。

 

鼻をつまみながらやっても声が出せることを確認する。

 

悪い例

 

 良い例

 

 

【エッジボイス 咽頭腔共鳴】

《目的》

息のコントロール 咽頭腔の共鳴をつくる

 

1 仰向けに寝て、身体は脱力。

2 両手を鳩尾(みぞおち)に置く。

3 腹式で息を吸う。

4 呪怨の映画で出てくる「あ゛あ゛あ゛〜〜〜」と言う声を一定の音量で出す。

5 繰り返し

 

《ポイント》

 

息の圧が強すぎると、空気が漏れてしまい「あーーー」になってしまう。

 

胸式で行うと高い音域になるか、喉が引き締まってしまい負担がかかる。

 

脱力していることが大前提。

 

 悪い例

 

良い例

まとめ

 

まだまだ発声で必要な要素は沢山あります。以前書いたように、基本は寝た状態で脱力、慣れたら立って行い、さらにうつ伏せなどの難易度の高い姿勢でも同じように声が出せるところまで到達することが重要です。声をテーマにしているため、言葉だけでは説明しきれていないところもありますが、現在、はてなブログでは音声をそのまま貼り付けることができないので、なんとしてもリンクの貼り付け方などを勉強して載せたいと思いますので、しばしお待ち下さい。「急ぎで知りたい!」という方は、ユーチューブなどで検索していただけると、他の方がやっているエッジボイスなどが簡単に聞けると思います。

なんとかリンクを貼ることに成功したと思います。

悪い例は喉を締めて行なっていますので、詰まった声になっているのがわかると思います。

 

発声こそ、継続して成果が出ます。いきなり明日から響く声を手に入れることはできません。しかし、続けなければいつまで経っても声は響くことはなく寿命を迎えます。気長に練習してみましょう。

 

 

 

CO-2N

発声の落とし穴にはまるな!!(5)

発声の落とし穴シリーズも5まできました。 前回までの復習はできていますか?

前回の「横隔膜」のことを理解できているとわかりやすいと思います。前回の続編という気持ちでごらんください。

 

 

co-2n.hatenablog.com

 

 

 

 

いよいよ・・・

 

腹式発声と胸式発声について!!

長くなりそうなので、覚悟してください。

 

 

④「お腹の下に息を入れて!!」

 

この危険な指示には二つの誤りがあります。それを詳しく解説します。

 

⬇︎参照⬇︎

 

 

co-2n.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

腹式呼吸と腹式発声の違いとは?

 

腹式呼吸・・・横隔膜の上下運動を利用して呼吸をすること 。

腹式発声・・・横隔膜の上下運動を利用して声を出すこと。

 

簡単に書くと上記のような違いです。

書くと当たり前のことなのですが、これさえも勘違いしている方もいるので書きました。以降、使い分けて書きます。

 

 

「腹式」というワードは声を使う人なら、役者に限らず聞いたことのあるワードかと思います。しかし理解している人はごくわずかです・・・いろいろと頭を悩ますことが多いと思いますが、お付き合いください。

 

 

腹式呼吸のしくみとは?

 

「お腹の下に息を入れて!!」なんて聞きますよね? あなたがちゃんとした身体の仕組みを理解しているのであれば、これができる人が人間がいないということがわるでしょう。

前回の記事にも少し書きましたが、心臓と肺の下に横隔膜があります。

 

(図1)

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上の(図1)を見てください。ご存知の通り、吸った空気が入るのは肺です。もし空気がお腹の下に入るとすれば、大腸や小腸に達していることになります。これは解剖学的にはありえないことです。

 

腹式を用いて呼吸をするときにお腹が膨らむ理由・・・

 

息を吸う

  ⬇︎

肺の下部に空気が届く

  ⬇︎

横隔膜によって胃や肝臓や腸が下に下がる

  ⬇︎

お腹が膨らむ

 

という過程があります。これをただしく理解しましょう。肺は(図1)の箇所から移動することはできません。前回も書きましたが、随意で動かせるのは横隔膜です。

 

 

 

腹式呼吸と胸式呼吸の違いとは?

 

腹式呼吸・・・横隔膜の上下運動を利用した呼吸。

胸式呼吸・・・胸の力を利用して肋骨を開いて行う呼吸。

 

腹式呼吸は寝ているときに自然としている呼吸です。胸式呼吸は息が上がっているときなどになりやすいです。ではなぜ演技のレッスンでは腹式発声を勧められるのでしょうか? それは腹式発声のメリットから考えることができます。

 

腹式発声のメリット

 

1 リラックス効果

寝ているときにしている呼吸だけあり、全身に余分な力が入りにくくなります。

 

2 声の支えを作る

横隔膜の運動を使い、喉に頼らずに声を出すための支えを作れます。

 

3 息の量をコントロールできる

横隔膜の運動を使い、喉に負担をかけることなく口から出て行く息の量をコントロールできる。

 

 

では胸式発声が良くないとされるデメリットについては?

 

 

胸式発声のデメリット

 

1 力みやすい

呼吸が肺の下部まで行き届かないことにより、肩が上がりやすくなり力みやすい。

 

2 首回りの緊張

横隔膜で支えを作れず、喉も窮屈に締まり、発声時に声帯への負担が大きくなる。

 

3 呼吸が浅くなる

肺の下部まで息を吸えないために、呼吸が浅くなる。

 

 

このような理由が主でしょう。しかし、胸式発声は絶対にしてはいけないでしょうか? 確かに声帯の負担軽減を考えると、多用はしないほうがよさそうです。しかし、演技において必要なシーンも出てくることでしょう。例えば、走った後や緊迫する場面では胸式で呼吸するのが自然です。私は生徒たちに腹式発声を指導しますが、演技のバリエーションを増やすためにも胸式発声は絶対にダメなことだと教えません。自分の身体を理解して「これくらいなら大丈夫」と判断できる場合は狙って使うことを指導しています。もちろん、しっかりと腹式発声を身につけてからの話ですが・・・

 

 

発声のしくみとは?

 

発声は吸った息を声に出すことは理解されているかと思いますが、どのような過程があるのでしょうか?

 

息を吸い、肺に空気をためる。

    ⬇︎

たまった息を吐き出す。

    ⬇︎

声帯が振動する。

    ⬇︎

共鳴腔(きょうめいくう)によって音に変わる。

    ⬇︎

口から声として出て行く。

 

こんな順番があるのです。声帯が声を生み出しているわけはありません。声帯の役割は鳴らすだけです。ここも勘違いしないようにしましょう。そして新しい言葉が出てきましたね・・・「共鳴腔(きょうめいくう)」とはいったい???

 

 

共鳴腔とは?

(図2)

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共鳴腔は三つあります。(図2)をご覧ください。

 

咽頭腔(いんとうくう)・・・声帯に一番近く、声を出すときに最初に機能する共鳴腔。

 

口腔(こうくう)・・・口の形、舌、歯を使う。コントロールしやすい共鳴腔。

 

鼻腔(びくう)・・・高音を使うときや「な」「ま」「ん」行で活躍する共鳴腔。

 

 

この三つの共鳴腔が上手く使えると、響く声になります。トレーニング方法は次の記事で・・・

 

 

まとめ

今回はまたまた詳しく身体について書きました。知識がある上で練習をするのと、無知で練習をするのでは、大きく差が出ます。「これはいったい何のための練習なのか?」という疑問は基礎であるはずの発声練習に多い傾向があります。

レッスンで一番質問をされるのが声についてです。それだけ、自分の中で正解がわからないということでしょう。いよいよ次回はこれまで書いた発声シリーズのトレーニング方法を書かせていただきます。

 

 

 

CO-2N

 

発声の落とし穴にはまるな!!(4)

前回は、背骨にフォーカスした姿勢について書かせていただきました。今回は筋肉についてです。

 

おさらいは⬇︎の記事で・・・

 

 

co-2n.hatenablog.com

 

③「腹筋を使って大きな声を出しなさい!!」

 

発声練習での危険なワードで1位に君臨してもおかしくないワードですね。腹式呼吸と胸式呼吸については、次の記事で書きます。

なぜ、現在の発声練習でも「腹筋を鍛えろ!!」であるとか「腹筋に力を入れろ!!」という指導者の声が飛ぶのでしょうか? 私は腹筋がバッキバキに割れていて、またはトレーニングをして声が大きくなったり、美声になった人を知りません。

 

まずはご自身で試していただきたいことがあります。

腹筋をしながら「あーーー」でもなんでも良いので声を出してみてください。大きな声でなくて構いません。

 

 

 

 

 

 

どうでしょうか? 物凄く出しにくくないでしょうか? 声帯にも負担がきませんか? なので腹筋を使って発声をすることは声帯への負担が大きく、危険なことがわかります。しかし、合言葉のように「腹筋!!」と言われるのには理由があります。それは、指導者が腹筋だと思って鍛えるように言っている身体の部位は横隔膜のことだからです。

 

「なんか聞いたことあるな〜」と思われる方が多いと思いますが、自分の身体のどこに横隔膜があるのでしょうか?

 

(図1)

 

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 (図1)前から見た時の横隔膜がついている場所になります。

 

 

(図2)

 

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(図2)は横から見た時です。

 

ドーム型に鳩尾(みぞおち)からへそ裏にかけて斜めについています。

内臓系だと肺・心臓と肝臓・胃を分断するようについています。

 

横隔膜は膜という言葉が入っていますが、筋肉です。随意(自分でコントロールできる)の部位なので、鍛えられますし指令を出して動かすことが可能です。しかし、これも私が解剖学を学んだり、本を読んだことによって理解ができました。そこまで学んでいる指導者が多くいないことが事実です。それによって、

 

お腹にある筋肉 = 腹筋 ➡︎ 腹筋を鍛えろ!!

 

と変換されてしまうのです。

 

指導者の方でも横隔膜を効果的に使い、発声として正しく自身が声を出せる方も大勢いらっしゃいます。しかし、自分で横隔膜を使っている自覚がないのです。もちろん、皆さんが「先生、それは腹筋ではなく横隔膜ですよ?」なんて稽古場でいうことができないのは理解しています。なので発声練習で「腹筋」というワードが出てきたら、「横隔膜のことを言っているな・・・」と自分の脳内で変換すると良いでしょう。

 

 

とは言うものの横隔膜ってどうやって鍛えるの? と思われるでしょう。発声のトレーニングはまとめで全部書きます。しかし、横隔膜の位置がわからないと理解するのが困難かと思いますので、横隔膜の動きをチェックする方法だけ書きます。

 

〈横隔膜の動きチェック〉

犬が興奮した時に舌をだして「ハッハッハッ」とやっているのを思い浮かべてください。私たちは人間なので舌は出さなくて結構です(笑)

ドッグブレスという練習方になりますが、この時に鳩尾(みぞおち)をさわると固くなっているのが横隔膜です。動いているのは、横隔膜の動きによって押し出される内臓です。

 

 

腹筋を鍛える = 大きな声

 

にならないことはご理解いただけたかと思います。自分も学生時代に必死になって腹筋をしたのに声に変化がなく、頭を悩ませたことが懐かしいです。正しく体を理解しましょう。腹筋を鍛えることは、前回の姿勢に影響を与える効果の方が大きいです。鍛えておくにこしたことはありません。

 

次回は、いよいよ登場します・・・腹式発声です。発声とは切っても切り離すことのできないものなので、それまでに今までのおさらいをしておきましょう。

 

 

 

 

CO-2N

 

発声練習の落とし穴にはまるな!!(3)

前回は正しい姿勢について書いたものの、声を出すところまでたどり着かず終わってしまいました。しかし大切なところなので 丁寧に解剖学を交えてお伝えしました。自分の骨盤、背骨の理想のポジションは理解できたでしょうか?

 

下の記事を参考に、もう一度復習するのも良いでしょう。様々な姿勢での発声についてはレッスンの方法を含めて、まとめで載せますので、ひとまず先に進みます。

 

 

co-2n.hatenablog.com

 


 

②「息をお腹いっぱいに吸って!!」

 

これもよく稽古場で聞く言葉ですが、危険な問題があります。

まず、私たちが日常で自然に行っている呼吸ですが、一度にどれだけ吸っているかご存じでしょうか? 実は、約500mlの空気が肺に出入りをしているのです。500mlペットボトル1本分と考えると、多いですよね。それに対して深呼吸をするときは倍の1000mlが肺に出入りしています。多く息を吸うには、それだけ多くのエネルギーを要します。

それを声に変換するときに重要になってくるのが、声帯です。

 

 

(図1)

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(図1)にある通り、呼吸時は声帯が開き、空気を取り入れやすくなっています。発声時には声帯が閉じて、中の空気が外に出る力で声帯が振動して声となります。

これもまた勘違いされていることですが「声帯は筋肉」と言われていますが、正確には「粘膜のヒダ」です。つまり鍛えることは不可能な箇所になります。

鍛えることができるのは・・・

 

閉鎖筋(へいさきん)

声帯を閉じる際に使う筋肉。主に地声の時。

 

輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)

喉を開く際に使う筋肉。主に裏声の時。

 

の部位となります。しかし、これを鍛えたから発声が良くなる・・・なんて単純な話はありません。逆に、喉に頼って声を出してしまう癖がついてしまう可能性がありますのでご注意を。

 

 

 

(図2)

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(図2)は声帯がどこにあるかを示しています。どうでしょうか? たまに「喉が痛い」と言いながら触っている箇所よりも少し下の方ではないでしょうか? 

そして気づいて欲しいことが・・・咽頭から下に分かれ道になっているのですが、喉頭→声帯→気管へと続く道、そして食道へと続く道です。

ここで疑問に思った方は素晴らしい。喉が痛い時に皆さんがやっていることはなんでしょう? 多くの方はのど飴を舐めていませんか?

しかし、普段飲み込む唾液や水分や食べ物は食道に流れます。つまり、のど飴に声帯を良くする効果はないということがわかります。のど飴は口内や咽頭の乾燥に効果はあるものの、声帯に届かないとなるとどうすればいいのでしょう? 残念ながら休ませる以外の方法がないのです。耳鼻科に行くと声帯の様子をカメラで撮ってくれる病院があります。違和感を感じた際は、面倒くさがらず診てもらうことが最短で治すための一歩です。

 

 

(図3)

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(図3)は声帯ポリープです。生々しい画像が苦手な方のためにイラストを使っていますが、ネット検索や動画で声帯ポリープができた患者さんの画像などはすぐに見つかると思いますので、興味のある方は是非。

ポリープができる前に炎症というものもあります。高い地声や裏声が出ない場合は炎症を疑いましょう。声帯の粘膜ヒダが正常に閉じれなくなると、そこから空気が抜けてしまいかすれた声になってしまいます。これがかすれ声の正体です。逆に低い声はいつもより出やすく、出したことのないような低音が出ます。

 

人によって喉が強い、弱いということがあると思いますが、強いと思っている方は特に注意が必要です。私は喉が弱いので、少しの異変でも気になってしまうのですが、強い方はポリープができるまで異変に気づかない方もいます。そうなると、声を出せるようになるまで、とても時間がかかります。最悪の場合は声を失うこともあります。

 

 

声帯がとても繊細な部位であることがお分かりいただけたと思います。息をおもいっきり吸って声にする作業で、どれだけ声帯が消耗するでしょうか? 私も勉強する前は間違った声の出し方をしてしまい、本番前に炎症が発覚し、辛い経験をしました。小声でも傷つき、大声なんてもってのほか・・・本を読む時も声帯は力んでしまい、テレビで喋ってる人を見ても声帯は働き続けます。寝ること以外に早い治癒方法がありません。

 

私が推奨する発声方法のテーマは「リラックス」です。

 

「最小限の力で最高の声を出す!!」

 

ことが理想ではないでしょうか? スポーツにおいても、上手な人ほど力みがありません。あなたが上手いと思う歌手や役者さんは力一杯歌ったり喋ったりしているでしょうか?

 

しかし、どんなに正しい発声を身につけていても、声帯は消耗します。休ませてあげなければ炎症を起こすのが普通です。それでも役者を志す人間は、声が出なければ仕事にならないと言っても過言ではありません。体をいたわり、息の長い役者を目指しましょう。

 

しっかりと練習方法はまとめで載せます。もうしばらく身体についての記事にお付き合いください。

 

 

 

 

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発声練習の落とし穴にはまるな!!(2)

さて、前回の記事は発声あるあるを挙げただけで終えてしまいましたが、具体的にどうすれば良いのか? を解明していきましょう。

 

まだ記事を見ていない方はこちらから⬇︎

 

co-2n.hatenablog.com

 

 

①「背筋を伸ばして良い姿勢で!!」

 

背筋を伸ばしたままずっと演技をすることはないと書きましたが「でも、正しい姿勢(基礎)を知らないと、いろんな姿勢(応用)でセリフを発することはできないんじゃ?」という疑問をお持ちの方もいると思いますので、人間の姿勢についてお話ししましょう。

 

(図1)

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上の(図1)は人間の背骨を横から見た図です。

頚椎が7胸椎が12腰椎が5仙椎と尾椎は幼少期から大人になる過程で3〜5つのものが癒着して1つになります。自分の背骨をなぞってみると、山のようにボコボコしているのがわかるでしょう。これが全部で26個もあります。

この図を見て、何か気付くことはないでしょうか?

 

それぞれの椎骨ごとに色分けや矢印がありますが、これは人間が立っているときの理想の背骨です。背骨は真っ直ぐ一直線に伸びていないのです。椎骨は、それぞれの箇所でカーブを描いています。これにもしっかりと理由があります。もし背骨のカーブがなかったら・・・人間が歩く動作や、ジャンプで着地をするときに衝撃を吸収できないのです。このカーブが何気ない日常の動作で負担のかかる背骨の衝撃を吸収してくれる大切な役割を持っています。

 

 

しかし、皆さんの学生時代を思い出してください。「気をつけ!!」の号令がかかったときに、胸を前に突き出して腰を反るように気をつけの姿勢をしていませんでしたか? 私はしていました(恥)そして現在の皆さんは、家や電車でスマフォを操作するとき、頭の重さに負けて丸まった背中になっていないでしょうか?

 

 

背骨の本来の働きが失われていると、思わぬ怪我にもつながります。つまり、歳を重ねて身についた良い姿勢=正しい姿勢ではない。ということが言えます。私も生徒にレッスンで「真っ直ぐ立って」と指示を出しますが、一人として正しい姿勢ができた生徒はいません。

 

 

「じゃあどれが正しい姿勢なんだよ!?!?」と痺れを切らしている方、ごめんなさい。お待たせしました。簡単に正しい姿勢をチェックできる方法を教えます。

 

(図2)

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上の(図2)は皆さんの下半身、主に骨盤を中心とした画像です。いろいろと書いてありますが、覚える箇所は2箇所です。

 

赤丸・・・・・上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)※ ASIS

青丸・・・・・恥骨結合部(ちこつけつごうぶ)※ PS

 

部位を自分でチェックすることが大切です。

 

赤丸の上前腸骨棘(ASIS)は、腰に手を当てたときに太ももの付け根の前方にゴリゴリと触れる飛び出した骨が左右にあるかと思います。そこの頂点のことです。

 

青丸の恥骨結合部(PS)は、おへそから握りこぶし1個分+自分の指2本分下のあたりに指を埋め込ませるとぶつかる骨があります。そこの頂点のことです。

 

この2箇所の全部の頂点は3つありますね? その点を結ぶ三角形を意識してください。

 

 

・床に仰向けに寝転がります。

・寝転がったら、先ほど確認したASISPSの三角形の頂点が床から同じ高さになるように骨盤の位置を調整してください。

 

少し違和感を覚える方もいるかと思いますが、これがあなたの骨盤の理想な状態であると同時に、背骨の理想な状態も作り出しています。寝ている場合は床のおかげで背骨が自然なポジションになります。立ったときには、今確認した三角形が床に対して垂直になっているところです。

 

発声の一歩は自分の自然で理想な姿勢を作り出すことから始めます。私は、ピラティスインストラクターの資格を所持しており、解剖学も学びましたので、この説明は自信を持って提供できます。そのおかげで、ついつい長くなってしまいましたね・・・

 

しかし、とても重要なのに真実を知らない方は多いかと思いますので、現在演技のレッスンに取り組んでいる方、これから始める方も参考にしていただければと思います。

 

 

果たして発声について、私はいくつの記事を書くつもりなのでしょう(笑)しっかりと書くペースをアップさせてお伝えしますので、気長に見てやってください。

 

まだ声を出すところまでたどり着けていませんが、ご安心を。

 

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発声練習の落とし穴にはまるな!!(1)

演技のレッスンで必ずと言っていいほど最初に行うのが発声練習ですね。

演技の上達には欠かせない第一歩です。

 

 

 

①「背筋を伸ばして良い姿勢で!!」

②「息をお腹いっぱいに吸って!!」

③「腹筋を使って大きな声を出しなさい!!」

④「お腹の下に息を入れて!!」

 

 

 

こんな講師の声が飛び交うことでしょう。上記は私から言わせると、役者に発声練習を勘違いさせる発声崩壊のキーワードになっています。

 

 

一度考えてください。発声練習はなんのためにやっているのでしょうか? どの演技のレッスンでもそうですが、目的を達成するための練習には意味がありますが、練習のための練習では意味がないのです。

発声は基礎でとても大切ですが、そこで習得した声を本番でも使えないと意味がないと思いませんか?

 

 

 

 

 

①「背筋を伸ばして良い姿勢で!!」

確かに身体を自然体にして発声を行うことは良いことですが、演技をしていてずっと背筋が伸びている役は、私は見たことありません。あきらかに不自然に見えます。つまり、どんな体勢であろうとしっかりと発声ができていないといけないのです。

 

 

 

②「息をお腹いっぱいに吸って!!」

では、息をおもいっきり吸って、声を出す直前で止めてみましょう。喉に詰まった感じがないでしょうか? おもいっきり息を吸うことで、肺に空気がパンパンの状態になりますね。風船がパンパンに膨らんだ状態と同じです。息を多く吸えば吸うほど、中の空気は外に出ようとする力が生まれます。これを一気に放出することで声帯はダメージを受けます。また、たくさん息を吸って力を調整しながら発声することも声帯にダメージを与えます。

 

 

 

③「腹筋を使って大きな声を出しなさい!!」

腹筋を鍛える→声が大きくなる。という勘違いが未だにあります。では想像してみてください。ボディービルダーは皆さん美声で大声ですか? スポーツをやっているアスリート、身近にいる筋力がある友人は大きな声でしょうか? 答えはNOですね。

 

 

 

 

④「お腹の下に息を入れて!!」

腹式発声はお腹の下を膨らませて発声することでは達成されていません。これについては長くなりそうなので、詳しく解説します。

 

 

今回はよくある勘違いを挙げていきました。「じゃあどうすればいいの?」というのを今後の記事で丁寧に解説していこうと思います。

 

 

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つまらない映画とは?

さあ、宿題の答え合わせといきましょう。自分なりの答えは考えられたでしょうか?

 

 

 

⬇︎質問内容のおさらいです⬇︎

 

1 あなたの好きな映画は?

 

2 その映画を好きな理由は?

 

3 その映画の何を人に勧めますか?

 

 

 

 

 

 

今回は少し視点を変えて、タイトルにある通り「つまらない映画とは?」という内容で書きたいと思います。

役者に限らず、映画好きの方は多いと思います。

 

 

ここで、質問をもう一つ加えましょう。

 

 

 

1 今まで観た中で、一番つまらかった映画は?

 

2 どこがつまらかったのか?(具体的に)

 

3 どう改善すれば面白かったと思うか?

 

 

 

 

 

 

お分かりかと思いますが、主観で構いません。

 

 

 

 

 

さて、どうでしょうか? 自分が導き出した答えが具体的であればあるほど良いのですが、勘の良い方はお気づきでしょう・・・

 

 

今出した答えは、決してつまらない映画ではなく、自分の好みではない映画ではありませんか? そして(2 どこがつまらなかったのか?)は、同じくその映画がつまらないと感じた人によって答えが変わってくるかと思います。

 

(3 どう改善すれば面白かったと思うか?)を具体的に導き出せた人は、もう研究する力が養われている証拠です。できなかったという人は、考えれば絶対に出てきます。見直してみても良いでしょう。

 

 

 

これを質問したのは、小堺一機さんが仰っていたことに感銘を受け、私が実践していることからです。

 

「自分にとって面白いと感じない作品でも栄養になります。面白い作品は自然と栄養が吸収されます。芸を志す人間は、なんでも栄養だと思えば嫌いなものも、我慢する力になります。」

 

 

 全文を覚えていないのが申し訳ないのですが、納得できました。

 

 

最近読んだ本『無敵の思考 西村博之』にも、「まずい食べ物は存在しない」ということが書いてあり、頷きながら読んでしまいました。

 

味が薄いものをまずいというのは、味が薄いだけでまずいではない。

味付けが濃いものをまずいというのは、塩加減などの問題でまずいではない。

苦みは、まずいに近いかもしれないが、苦味を良いとする食べ物もある。

 

だそうで、つまりは自分の好みの問題で「どうだったら自分に適した味」なのかを考えればまずい食べ物は存在しないのではないか? という面白い視点でした。なので私はシソという苦くもなく、甘くもなく、酸っぱくもなく・・・味を例えられない奴が口に合いません。香りを楽しむというなら「私にその香りは不要です」と丁重にお断りします(笑)

 

 

 

もう一人・・・私の好きな『STAR WARS』シリーズで、有名なヨーダを操っていたMike Quinn(マイク・クイン)さんのトークショーでの会話。

 

「好きなことなら夢中になれるはずだ。僕はパペットが大好きだから誰にも負けたくなかった。だから誰よりも研究した。そうしたら夢が叶っていた。」

 

成功した人の言葉には説得力があり、無心で拍手をしてしまいました。

 

 

「研究する」という言葉が私はとても好きです。「勉強」と言われると、一気に堅苦しくなるのを、「研究」はどこか自由度が増すし、好きじゃないとできないことだと感じるからです。

 

 

下記は私が最近映画館で観た映画です。

 

 

・『ハン・ソロ STAR WARS STORY』×2

・『ジュラシックワールド 炎の王国』

・『ミッションインポッシブル ローグネイション』

・『オーシャンズ8』

・『カメラを止めるな』

 

レンタルDVDやAmazonprimeで観たものは省いています。

アクション系に少し偏りがありますが、見終わった後は、いつも一人で考えながら帰宅しています。「あそこのシーンは素晴らしかった」「あのタイミングで音楽が流れるのは如何なものか?」「あの役は必要だったのか・・・」などと勝手に考え込んでいます。

 

 

前回もそうでしたが、「自分ならこうしたい!!」という発想を沢山持てることが、役者として大切な引き出しの量にもつながっていきます。

 

 

つまらない映画は存在しない。

それは自分の好みに合わないだけ。

どうすれば自分の好みの映画になるかを考えて見る。

 

 

是非、お試しあれ。

 

 

 

 

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演技が上手い役者とは?(続)

前回の記事⬇︎

 

 

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「その人の主観であり、測定基準はない」

 

 

という答えを出しましたが、自分の意見を書かずに終わらせてしまったので追記をします。私が思う演技が上手い役者の条件は・・・

 

 

「周囲の役者を活かす演技ができる役者」

 

 

だと考えています。

 

私が常日頃から演技指導の際に

 

 

「次に台詞がある人に、いいパスを渡せ!!」

 

 

と言い続けています。厳密に言えば台詞がない役でもリアクションでこれができることが望ましいです。

 

どういうことなのか・・・?

 

 

 

 

多くの作品は人間が2人以上登場します。(一人芝居や独白については別記事で熱く語ります)お互いが自分勝手に各々のプランで台詞を喋られると、見ていて「このシーンは何をしているのだろう?」「結局なにが言いたいの?」と困惑させらます。

 

役者を仕事にしたいと志す人で、人前に出たくないと思う人間はあまりいないと思いますので、自己主張をしてしまうのは自然な現象なのですが、役者がするべきことは、そのシーンの目的をお客さんに伝えることです。ここを勘違いしている人が物凄く多く見受けられます。

 

シーンを成立させるには、そのシーンに適した会話が求められます。どうしたら、このシーンの目的を達成するための自然な会話ができるのだろうか? 相手を怒らせるシーンでどんな台詞でパスを渡したら相手が激怒するだろうか? を考えることが重要です。

 

 

私が役者として尊敬する大竹しのぶさんには、こんな伝説が・・・

 

 

とある舞台の現場で主役の若手役者(男性)と大竹しのぶさんが会話をするシーンがありました。しかし、若手役者は演出家の要求に応えることができず、何度もそのシーンの稽古が続きました。やがて演出家が稽古を中断し、稽古場は仕切り直すために休憩となります。

若手役者は休憩の間も演出家と演技について話す時間になり「もっとこうしてほしい」などの要求を受けています。大竹さんは、ケータリングのおかしをつまみ、しっかり休憩をとっています。時間はあっという間に過ぎ、若手役者は休憩時間をとれずに稽古が同じシーンから再開されました。すると・・・先ほどとは見違えるような素晴らしい演技が繰り広げられ、そのシーンの稽古は終わりました。一体なにがおきたのか?

 

 

文章で読むと、若手役者が演出家の要求を理解し、それに応えた話のように感じるかと思いますが、これには大竹さんの役者としての技量が隠されていたのです。

休憩中に演出家と若手役者の会話をおかしを食べながらも大竹さんは聞いていたのです。そして再開されるまでの数分間で若手役者が演出家の要求通りに芝居ができるように演技を変えたのです。この稽古場のスタッフさんから聞いた話なのですが、私もその瞬間に居合わせたかった・・・

 

 

これが「周囲の役者を活かす演技ができる役者」の良い例だと思います。

 

 

 

前にも記載しましたが、これは私が考える「演技が上手い役者」であり、他の演出家や演技指導者は違うことを重視するでしょう。どんな演出家や演技指導者でも同じことを要求するのであれば、役者にとって優しい世界で、同じような作品で溢れてしまいます。行く現場、行く現場で求められるものが違い、それに対応できるのがプロの役者ですよね。

 

参考までにということで・・・

 

 

次回は、前回の最後に出した宿題に関した記事を書きます。しっかりと、やってくるように!!

 

 

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演技が上手い役者とは?

今回は「演技の上手い役者とは?」というテーマで進めていきます。

 

このブログ内では「俳優」ではなく「役者」と記します。この二つがどう違うかは、後日改めて・・・本題に進みましょう。

 

 

 

いくつか質問をしますので、皆さんも気軽な気持ちで考えてみてください。

 

1 演技が上手いと思う役者さんは誰ですか?(一人だけ)

 

2 その役者さんを好きな理由は?

 

3 その役者さんの魅力は何ですか?(できるだけ具体的に)

 

4 その役者さんの次に、演技が上手いと思う役者さんは誰ですか?(同性で)

 

5 一番上手いと思う役者さんと、二番目の役者さんの違いは何ですか?

 

 

 

 

 

 

 

さて結果はどうだったでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

心理テストではありませんので、考える過程が大切です。多くの方が頭を悩ませたことでしょう。

 

 

私も生徒に同じ質問をすると、生徒は「2」の答えで少し考え込み「3」では無理やり答えをだして「5」は沈黙してしまう流れがお決まりです。そして名前の挙がる役者さんも人によって違います。

 

この質問を生徒にしてみてわかったことは、演技が上手い役者は自分の主観でぼんやりとしか把握しておらず、その人のどこに魅力を感じるのか? まで考えたことがない生徒が山のようにいることです。しかし!! そこを研究できれば、その役者さんに近づく手段が見えてくる可能性があります。

 

 

 

よって、演技上達で一番最初にやるべきことは・・・

 

 

 

「研究心を強く持つ」

 

 

 

ということです。発声練習ひとつを見ても、レッスンの度に意味もなく同じ言葉を繰り返していて上達するのであれば、誰でも大きな声を簡単に出せるようになりますね。演技の技術に限らず、芸術の分野では・・・

 

 

「言葉で表現できない」

 

 

という言葉が頻繁に使われ、感覚で教えること、教わったことが多いと思いますが、それを具体的に理解しないと永遠に感覚だけに頼ってしまい、自分がなぜ声を大きく出せるのか? という疑問を抱いたままです。(それでも通用してしまう人もいるのですが・・・)感覚人間を全否定するわけではありませんが、感覚人間のデメリットを挙げておきましょう。

 

 

・ 発声練習では大きな声が出るが、本番前で声帯を痛めたとき、対処ができない。(自分の身体で何がおこっているか理解していないから)

・ 人に教えることができない。(自分が理解していないから)

・ できない人にイライラする。(教える言葉が用意されていないから)

・ 本番が長く続く公演だと、好不調の波が激しい。(雰囲気で芝居をするから)

 

挙げていくと、きりがないのですが、私の考えでは「あの人、何かわからないけど素敵だった」「何かわからないけど良い作品だった」という言葉を使って良いのは、お客さんまでだと思います。自分がそう他人に褒められた時に、なぜそう見えるのかを狙ってできているのか? 偶然なのか? これはとても重要な要素です。狙っているのであればとても優秀な役者だと私は思います。

よく使われる言葉ですが「華がある」って、とても抽象的な言葉ですよね。どうやったら自分も華のある役者になれるのか? 考えて損はないと思います。イケメンや美人でなくても「華がある」ってよく言いますからね。

 

 

話を戻し・・・最初の質問、東大入試より難関な問題ではなさそうですよね? 考えたことがないだけです。

時間が経てば「あの人の魅力はこれだ!!」と思いついたり、必死に考えれば必ず答えは出ると思います。それは、自分の中でしか答えがないからです。演技の技術は

「研究心の強さ」で差が出ます。

 

タイトルの「演技の上手い役者とは?」ですが、ブログ開始2記事目にして、否定されそうなことを書きますが演技が上手い役者とは・・・

 

 

 

「その人の主観であり、測定基準はない」

 

 

 

が私の出した答えです。

「街の人100人に演技が上手い役者さんを聞きました」のアンケートをやっても、全員が同じ役者さんの名前を挙げることもなければ、有名演出家でも同じ人を挙げることは少ないでしょう。演出家が良いと言っても、お客さんに演技の上手さが伝わらない役者さんも沢山います。(難しい世界です・・・)

 

 

一番最初に自分が挙げた好きな役者さんは「自分が憧れている役者」と紙一重かと思います。是非、研究心を磨く練習だと思い、必死に考えて、答えを導き出してください。

 

それでは「研究心」使う宿題をひとつ出しておきましょう。

 

 

1 あなたの好きな映画は?

2 その映画を好きな理由は?

3 その映画の何を人に勧めますか?

 

 

 

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《演技》ってなんだ?

はじめまして。CO-2Nです。

 

一回目の記事はこのブログの活用方法について書きたいと思います。

 

タイトルにある通り・・・

 

 

《演技》ってなんだ?

 

 

という大きすぎる疑問を自身の経験を元に書いていきたいと思います。

 

役者を目指している方、既に役者の方でも《演技》というものを全てマスターした!!という方はいらっしゃらないと思います。(いたら教えて欲しい……)もちろん私も同じく、勉強の日々です。

 

 

「演技は自由だ!!」「演技に正解はない!!」

 

 

などと言われたことのある役者は山のようにいることを知っています。それと同時に・・・

 

 

「その演技は違う!!」「演技をわかってない!!」

 

 

と言われていることも知っています。(自身も経験しました)

 

私は有名無名問わず様々な演出家の方や、演技指導の先生とコミュニケーションをさせていただく機会を通して《演技》というものをいろんな角度から見ることができました。その結果・・・

 

 

「演技は自由ではない!!」「正解はある程度ある!!」

 

 

と考えるようになりました。理由については今後しっかりと更新するブログに書いていきます。

 

演技に携わる人間に悩みはつきもので、それが自分の気持ちを苦しめてしまうこともありますね。このブログでは、

 

 

「役者が抱える悩みを具体的に解決するにはどうするべきなのか?」

 

 

を大きなテーマとして書いていく場にしていこうと思います。つまり、読者の方と共にブログを充実させたいと考えています。コメント欄やメッセージは、どなたでもできるように設定しています。コメントで見られたくなければメッセージでこっそり聞くもありです

。良い質問だった場合は、匿名で記事に解決方法含め、書かせていただければと思います。

 

 

主になってくるのは・・・

 

・演技について考える。

・抽象的ではなく具体的な解決方法。

・レッスン方法。

・演技レッスンあるある。

・おすすめ本の紹介。

 

 

が多くなると予想しています。

 

 

決して表舞台で大作を演出したわけでもなければ、役者としても有名になった人間ではありません。しかし、自身が海外で体験し、勉強した経験。演技指導を行っている現場でおきている現状。脚本を書くにあたって役者に求めるもの。自分よりも経験値がはるかに高い演技に関わる仕事をされている方々の意見を発信し、共有できたら何よりです。

 

そして、上に書いてある「おすすめ本の紹介」はアフィリエイトをします。普通はこんな書き方をするのはおかしいことかもしれませんが、意図を理解していただきたく隠さずに白状します。

 

副収入としてアフィリエイターが増えていることは有名な話ですが、今回の目的は、このブログを充実させることを目的として行います。

とはいえ、本のアフィリエイトで入る収入はごくわずかなものです。しかし塵も積もれば・・・ですから、コツコツやっていき地方での演技のワークショップ開催」を目標と考えています。役者の方ならわかると思いますが、演技の勉強をするための本は、都内の大きな書店に足を運ばないと、手に入らないことが多く、探すのに苦労しますよね。やっと手に入れても、それが今の自分に必要な本ではなかった時の絶望感は計り知れません。

その手助けもできればと思い、毎回ではありませんが不定期に本の紹介などもさせていただければ何よりです。演技の勉強以外の本も紹介していく予定です。(役者という職業に要らない知識というものはありませんからね・・・)

 

今後とも、この壮大なテーマのブログの発展に協力していただければと思います。よろしくお願いします。

 

 

 

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