自分だけの情報
人間は、自分が新たに得た情報を他人に話すことに「喜び」を感じます。これは演技においてとても大切なことです。
『日常での知識披露』
皆さんも日常で「昨日の◯◯みた?」などと会話をしないでしょうか? 一昔前に流行った「雑学」を知っている人たちは皆、話しているときに得意げであったり、笑顔ではなかったでしょうか?
人が知らない情報を共有することで相手が「そうなんだ!」「知らなかった!」と思えば人間は嬉しくなるのです。
(それがあまりにもしつこいと鬱陶しくなってしまうのですが・・・)
しかし、その情報源がどこから得たものなのか? がとても重要です。ネットの情報を鵜呑みにしてはいけません。
『情報の真実』
演技をやる上で、台本に書いてある言葉で自分の知らない言葉は一つもあってはいけません。これは当たり前のことなのですが、調べない人が多いのが悲しい現状です。人に何かを伝えるときに、自分の知らないことを話すのは不可能ですよね?
歴史に詳しくない人が江戸時代について語ることはできません。
しかし、それが単語になると「ごまかせる」という思考になり「なんとなく、こんな感じかな?」と雰囲気で芝居をしてしまいます。
それを調べないことによって、あなたは自信を持ってセリフを発するチャンスを逃してしまうのです。
そして、今まで当たり前のように使っていた言葉に違う意味があるとしたら? それを知ったあなたの演技は変わっていくでしょう。演技の幅が狭い人は、知識不足です。
ネットでなんでも調べられる時代ですが、注意が必要です。ネットというのは「誰か」が記事を書いています。その目的は多くの人に読んでもらうことです。つまり、視聴率を気にして書きます。
真実より話を大きくして書くことや変化を加えることで「面白そう」と思わせる内容になっています。これはテレビや新聞も同じです。
またかよ・・・と思われるかもしれませんが、本という媒体が信用性が最もあります。
理由は「編集者」という人間の存在です。出版社の看板を汚さないために「真実」を世に広めないといけません。
ある小説家さんの話で「主人公を朝の8時何分かの電車に乗った。という文を書いたら、編集者のチェックでその時間に発車する電車が存在しないためバツを入れられたことがあった」と書いてあり、私はチェックした編集者の方に拍手を送りたいと思いました。
もちろんネットやテレビや新聞の情報が全てデタラメだとは言いません。しかし、あなたに正しい情報を身につける癖ができると、正誤の判断力が上がり、正しい知識を身につけることができるようになります。
『丸腰で来るな!!』
「これってどういう意味ですか?」と台本を渡して二週目のレッスンで言う生徒が稀にいます。一週間なにをしていたのか・・・と残念な思いになりますが、これは外の現場で演出家や監督に言った場合、今後、仕事が来なくなるでしょう。
役者は演出家や監督の期待を良い意味で裏切らなければいけません。これは役者に与えられた課題です。
私も教える場で、生徒が素直で真っ向勝負をしてくれると熱くなります。
「もっとこうしてみよう!」
「今度は違うやり方で!」
と多くの提案を出せます。
私は学生時代に「厳しい指導者」に出会う機会がとても多かったです。そこで萎縮してしまう生徒が多い中で「絶対にあの先生を驚かせる!」と意気込んで勝負しました。結果、今でも連絡を取り合い、仕事でもお世話になっています。
表現者であり続けるには、他人の持たない武器(知識)を備えた上で稽古場に向かうべきです。
これをできる生徒は本当に少ないです・・・
『知識量がものを言う』
生徒の中には「そこまで考えてきたのか?」と思わせてくれる人もいます。そのような生徒のわかりやすい成果はセリフを相手に投げる強さが違います。演技は実に抽象的な表現が多いですが、見ている人に「なにをしているのか?」「なにを伝えたいのか?」が分かれば勝ちです。
選挙に受かりたい人が必死に演説している姿を見たことがあるでしょう。
内容が優秀でも、淡々と機械のように話しているのでは、聞いている人の気持ちは動きません。
「選んでほしい!」と願い、自分の思いを伝えたい! という気持ちが言葉に変換されたとき、人の心を動かすのです。
知識を身につけ、自分の思いを伝える術を身につければ、演技は上達し、楽しいものとなります。
『まとめ』
これだけ書いても行動に移せないのが人間です。多くの本が出回っているのに、同じような内容の本が続々と出版されるのは、読み手が行動をしないからです。堀江貴文さんも「この手の本は書きたくない」と前書きで書いている本があります。
行動するかどうかは、あなた自身が決めます。
それがあなたに必要かどうか? それはやってみてから決めるべきです。
『ボヘミアン・ラプソディ』を観るべき人・・・
話題の『ボヘミアン・ラプソディー』を観てきました。
昔、新宿コマ劇場があったときに『We Will Rock You』というミュージカル? ともライブとも言える作品を観劇しましたが、当時はQueenの曲は聴いたことある程度でした。
この作品はQueenのギタリストであるブライアン・メイが音楽のスーパーバイザーになり、公式で行われた作品で、今考えれば貴重なものでした。歌舞伎町に立ったフレディ像を写真に撮ったような・・・
というわけで『ボヘミアン・ラプソディー』はしっかりと目に焼き付け、耳を潤わしてきました。
【キャスト】
フレディー・マーキュリー ラミ・マレック
メアリー・オースティン ルーシー・ボーイントン
ブライアン・メイ グウィリム・リー
ジョン・ディーコン ジョセフ・マッゼロ
ジョン・リード エイダン・ギレン
他
なんといっても、キャストが本物そっくりです!!
エンドロールで本人たちの写真が出てくるのですが、フレディーの父親まで似てます。
【あらすじ】
Queenの伝記!! これ以外のなにものでもないので、ここで筋は説明しません!!(笑)
世代ではない人でも、今では当たり前のように聴いている音楽が、昔はどうだったのか? を知れる内容です。
【こんな人に観て欲しい!!】
これは全員が観て良いレベルです。あなたが役者であれば、どんな発想で音楽を作っていくのか? 人とは違うアイデアを生み出すことのリスクとは? 出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない!! 仲間とは?
内容は、私が思うに、よくあるバンドの物語と変わりません。
「バンド結成」→「売れる」→「大物と肩を並べる」→「レコード会社と揉める」→「問題発生」→「解決」→「エンディング」
これだけだと単純に思うかも知れませんが、話題になっている理由は映画を観るとわかります。
最後のライブシーンは圧巻です。どれだけ支持を集めていたのかが忠実に再現されています。
【観るべきではない人・・・】
Queenの曲を知らない人は楽しめないかも知れません。しかし、聴いたことある曲は必ずあると思います。
「We Will Rock You」も流れます。これはどうやってこの曲が誕生したか? がとても面白いです。つまり・・・全員に観てもらいたいです!!
【感想】
私はThe Beatlesが好きなので『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK〜』の方が好みでした。
しかし、これはドキュメンタリー映画で、ライブ映像も現代の技術で見やすいように編集されて迫力もありましたが『ボヘミアン・ラプソディー』とは作り方が違うので、比べるのはナンセンスかも知れません。
フレディ役のラミ・マレックは、オーディションで審査員に「僕は歌えない」と言ったようです。それでも彼が選ばれた理由は、似ているから・・・というだけではないでしょう。人が隠したい技術の無さを白状して、役に立ち向かった彼は、映画の中でフレディー・マーキュリーそのものでした。
【まとめ】
とにかく観る価値ありです!! 役者であれば尚更!!
内容を深く探らずとも、今回は人の人生を観ていると思って気楽に観て、聴いていられます。多くの人が泣いたと言っていますが、泣いた=良い作品ではありません。私は泣かずに真剣に観ていましたが、感動しました。あなたにとってはつまらない映画になってしまうかも知れません。
それでも、何も得られない映画ではありません。そんな映画は存在しませんので・・・つまらないと感じたら、何がつまらなかったのか? 面白かった映画は、何が面白かったのか? を考えられる癖をつけると良いでしょう。
素直な子供たちとの出会い
先日の演技レッスンにて、改めて「素直に吸収する子供の力」を学びました。代講で出会った子供たちですが、目を輝かせて演技を学んでいた姿に、自身の若い頃を重ね合わせて見てしまいました。
【素直な心はなんでも吸収する】
以前、真摯と謙虚と◯◯◯について書かせていただきましたが、先日出会った子たちはこれを兼ね備えていました。
クラスの全員ではありません。しかしこの素直さは周囲に良い影響を与えます。
私は演技をする子供たちに「失敗しても良い」「恥をかきなさい」と言います。これはどんな人でも思っている「失敗したくない」「恥をかきたくない」という気持ちで自分の中のリミッターを振り切れないことを防ぐためです。
失敗したら、演技をやめなければいけない法律はありません。本番で失敗するなら、稽古場で失敗をすることの方が断然良いでしょう。
【稽古場でのレッスン】
気の知れた仲間であったり先生の前で稽古をすることが一番恥ずかしかったり、緊張するものです。「本番ならできる」は役者の言い訳で、演出家は「稽古場でできないものは本番でもできない」と判断します。
緊張は誰でもします。全員が同じ条件なのも稽古場です。「素直になんでも吸収してやる!」と考える子が現れると、稽古場はパッと明るくなり、演出家もやりやすくなるのです。
【積極性】
演技のレッスンだと、なかなか手を挙げて「私がこの役やります!!」と言えずにレッスン終了時間になってしまう子がいます。なるべく一人一回は前に出て演じてもらうことを心がけていますが、演技レッスンは一斉にできるものではないので、どうしても見ているだけの子が出てきます。
私もかつて、数人が前でやった後に手をあげるような消極的な生徒だったので、そういう子たちの気持ちは痛いほどわかります。
しかし、演技はやってなんぼの世界です。頭の中で考えていることと、演技をしてみると上手くいかないことが多く出てきます。ここで「自分に足りないもの」を知ることが演技上達の一歩です。
積極性を身につける方法は簡単です。余計なことを考えずに手を挙げることです。これしかありません。
【技術を磨く前に】
出会った子供たちは演技の技術は高いとは言えません。しかし、みんな愛される役者でした。
これはとても重要なことです。上手いのに、見ている人から応援されない役者はとても損です。技術は長く続けていると、誰でも身についてきますが、早く成長するためには素直な心が必要です。
近い将来、彼らと外の現場で会えることが楽しみで仕方ありません。
【まとめ】
指導側にいると、生徒から大切なことを教わります。これは自分がどんなジャンルの指導をしていても感じます。どうすれば伝わるのか? 何がわからないのか? この子はこういう役は得意なんだ・・・と発見の連続です。
素直は人生のキーワードといっても過言ではありません。
CO-2N
言葉の責任
多くの役者が「台本」を読み解いて表現をします。台本にはセリフが書いてあります。つまり、声に出して言葉を発します。これだけでは、音読と変わりません。これに感情や表現を加えていくと、演技になります。
しかし、その言葉を乱暴に扱う役者が非常に多いのが現状です。それはどういうことなのでしょうか?
【台本を読むとは?】
私は学生時代に「あなたは、本を読むのが下手」と言われたことがあります。演技を初めて1年も経たないときでしたから、意味がわかりませんでした。毎晩のように台本を読んで、自分の考えはしっかりとありました。
しかし、演出家の言う「本を読む」は当時の私の本を読む行為とは違うことだったのです。
【そこにあるから読む】
役者に付きまとう最大の難関はセリフ覚えです。私はセリフを覚えるために本を読んでいて、全体のことは考えていませんでした。私の役は、この作品にどのような影響を与えて、なぜ存在しなければならないのか? は考えることもしませんでした。
「自分の役に用意されたセリフが書いてあるから読む」
と言う行為は、自分のプランしか優先できなくなります。稽古場では演出家の指示が常に変わるものです。それに応えるためには、全体の流れを把握する必要があり、自分の役の影響力や立ち位置(ステータスが高い低い)も入れておかなければいけないのです。
【知らない言葉を発する】
これも学生時代ですが、稽古中に先輩が「この言葉の意味わからないんだよね」と言いました。すると演出家が怒鳴り散らすように「言葉の意味も知らない奴が、セリフなんか喋るな!!」と叱りました。
稽古は中断し、台本に書いてあるすべての言葉の意味を一日中かけて調べる作業が続きました。
表現をする人間が、理解していない言葉を口にすることは、無責任と言っていいでしょう。自分がわからない言葉をお客さんに「理解してね」と言うことはできません。これは家電に詳しくない人に「この家電を買ってください」と言われる行為と変わりません。
時代劇であれば、昔の言葉、その時代の常識、流行っていたもの、問題になっていたこと・・・多くの知識がないと台本を読み解くことが難しくなっていきます。
多くの役者が、この作業を面倒くさがってやりません。そして適当な表現をして、役者人生を終えていきます。
【脚本家の意図を読もうとしない】
勝手な解釈も罪です。もちろん、脚本家も人間なのでミスはあります。そこに漬け込んで「こっちのセリフに変えた方が良い」と判断してセリフを変える役者が多いです。本番で、しっかり台本通りのセリフで発することができればいいでしょう。
しかし、稽古場でその癖がつくと、本番も違うセリフを発してしまうでしょう。
なぜそう書いてあるのか?
を追求しないと、自分が損をすることになります。
【まとめ】
台本を書く人間は、常に全体を考えてセリフを書きます。何度も見直して、矛盾があれば書き直し・・・を永遠に繰り返します。完璧な文章は存在しません。しかし、それに息を吹き込むのは役者であり、その役者が好き勝手やってしまえば、脚本を侮辱することになります。
皆さんは脚本があってこそ「役者」になれます。日常から、自分の発する言葉に責任を持って生活することが役者としての使命です。
CO-2N
私と読書と伊坂幸太郎・・・
私は、どんな生徒に対しても本を読むことを勧めています。読書嫌いだった私が、読書を通じて変わったからです。
今日は私が趣味を「読書」と書けるようになったきっかけを作ってくれた方と、その本について紹介していこうと思います。
【伊坂幸太郎という男】
聞いたことある方もいるかもしれません。私を読書の世界に誘うきっかけを作ってくれたのは間違いなく伊坂幸太郎さんです。
「演技上達のためには読書をしろ!!」と当時の指導者に言われていましたが、最後まで読み切れない本にお金を払うことが馬鹿馬鹿しくなっていた時期があり、これが読めなかったら買うのをやめようと思って手を伸ばしたのが、伊坂さんの本でした。
ジャンルはミステリーですが、読んでいて、こんなに脳内でイメージしやすい本は初めてでした。読書初心者が5日で読み終えたのは奇跡と言っても過言ではありません。
そして、私は様々な古本屋で伊坂さんの本を買いあさり、読破する作戦に出ました。今でも新刊が発売されると、読んでいる本を一旦隅に置き、最優先で読むようにしています。
【仙台一人旅】
伊坂さんは仙台出身であり、仙台の地が舞台となる作品がほとんどです。映画化された作品の多くが仙台でロケを行っています。度々出てくる仙台の地名がわからず、この目でどうしても見たくなり、人生初の一人旅は仙台に行くことにしました。
もちろん目的は、それだけではないのですが、そこまで私は魅了されてしまったのです。
【『死神の精度』との出会い】
私が最初に伊坂さんを知るきっかけとなったのが『死神の精度』という作品です。これは誰に勧めても「読みやすい!!」と言われるので、読書初心者の方には特にお勧めします。オムニバス形式で進んでいく話ですが、最後に思わぬ結末を迎えます。
金城武さん主演で映画化もされていますが、映画だとカットされてしまっている話があるため、小説がお勧めです。
【『フーガはユーガ』を読んで・・・】
最近発売された『フーガはユーガ』という作品ですが、先ほど読み終わったばかりです。「これぞ伊坂さん!!」と思わせる伊坂ワールド全開の作品でした。ネタバレは書けませんが、双子の話です。誕生日のある時刻になると、二人の体が入れ替わる不思議な兄弟。
伊坂さんの真骨頂である「見事なまでの伏線回収」に脱帽です。こちらは読書を日常からしている人向けかもしれません。双子設定なので「今、どっちの話を展開しているのか?」を理解していないと混乱してしまうためです。興味のある方は是非・・・
【なぜ勧める?】
最初にも書きましたが、本を読み終えることができなかった私が読めた本です。絶対に読めることを保証します。
「おすすめの本教えてください」と言われますが、小説では『死神の精度』は一番最初にお勧めします。
【まとめ】
何度でも言います!! 本は人を豊かにします。そして表現力を養うための知識になります。良い役者は、必ず読書をしています。「してないよ〜」という役者ほど、本を読んでいます(笑)
習慣にないものを習慣にするためには「やってみる」しかありません。1日10分でも構いません。騙されたと思って読んでみましょう。
CO-2N
セリフ覚えが悪い・・・
役者が本番に向けて稽古をするにあたって、最初に時間を要するのがセリフ覚えですね。
演出家によっては、本読みの次の日から台本を離すように指示されることがあります。私もセリフ覚えは非常に苦手でした。どうしたらセリフ覚えが良くなるのでしょうか?
【明日までに覚えてくれ】
学生の頃、私は主役の座を射止め、浮かれる間も無く本読みが始まりました。演出家Yさんは多忙な方で、本読みには姿を現さず、演出助手の方が本読み終了後に・・・「Yさんは、台本持って稽古することを許さない演出家なので、明日までに覚えてきてください」との指示・・・
私は、その晩、徹夜をすることになるのですが、若さ故か必死に頭に叩き込みました。しかし、午前3時を過ぎても覚えることができず、すっかり覚醒した明け方4時から、様々な方法を検証しました。
【気合いでは覚えられない】
後に、稽古日程に記載されているシーンのセリフを覚えていけばよかったことに気づくのですが、なにが起こるかわからない舞台稽古で、自分がセリフを覚えていないせいで稽古が進まなくなるのは申し訳ないと思い、1幕の膨大なセリフをお経のように唱えていました。しかし、何度やってもセリフが覚えられることができません。
学生の気合いだけでは、この壁を乗り越えることができないと確信し、反復練習は字面だけしか頭に入らず、演技をするところまでたどり着くことはできません。
【方法1】
一度、書くことで頭に入れることをしました。しかし、ただ書くだけでは漢字ドリルのような暗記になってしまいます。役者におけるセリフ覚えの考え方は、暗記ではありませんよね? セリフを意味として覚えて感情に繋げるには? 抽象的な捉え方ですが、それを自分の中で具体的なものにしなくてはいけません。私が行ったセリフを書く方法は・・・
青字でセリフを書いていく。
赤字でセリフの核を書く。
(例)
「昨日、セリフを覚えるために徹夜をしたんだ」
前後のセリフによって核が変わってくることもありますが、このセリフの前に「疲れてない?」というセリフがあった場合は、それに対する返答で大切なところ核を赤にすると・・・
「昨日、セリフを覚えるために徹夜をしたんだ」
となります。なぜ青と赤に分けるのか?
青・・・集中力を高める
赤・・・注意を促す
上記のような、効果があると言われています。人によっては基本は黒字で書いて核を青にする。などと自分がやりやすいスタイルを見つけることをお勧めします。
【方法2】
相手役のセリフを自分で発し、自分のセリフのところは無音で録音する。
これは、とても勉強になりました。相手役を自分でやることによって自分がどうセリフを伝えればやりやすいのか? とわかります。それと同時に録音したシーンを再生すると、自分のセリフ覚えのチェックもできます。
これを勧めても、実践する人が少ないのが現状です。たかが録音するだけなのに面倒臭がるのです。気持ちはわかりますが、私は他の人がやっていないことを試みることが、この世界では大切ではないでしょうか? と言い続けています。やってみて失敗であったらやめれば良いだけの話です。やる前から判断する癖がつくと、挑戦する気持ちが衰えていきます。ぜひ、お試しください。
【レッスンで・・・】
人よりセリフ覚えが悪かった私は、学生時代に「セリフ暗記」を行うトレーニングで恥をかきました。そのトレーニングとは・・・
・ 5〜7行のセリフが書いた紙が用意される。
・ 制限時間7分で全てを暗記。
・ 7分後に台本を見ずに目の前の相手にセリフを言う。
いたってシンプルなトレーニングでしたが、これが非常に難しいのです。暗記で思い出しながらやるのであれば簡単です。しかし、セリフとして相手に伝えなければ演技になりません。途中で間を作ってはいけませんし、相手から視線を逸らしてもいけません。思い出そうとすると、人間はよそ見をします。
このトレーニングはできた人から抜けていき、できない人は何度も繰り返し仕切り直して行うのです。私は、最後の最後までできませんでした・・・その日の帰り道は落ち込みました。
【不得意が故に・・・】
その日から、私はこのトレーニングを定期的に自分の課題として取り組むようにしました。文章であればセリフではなくても構わない! と決めて、新聞や小説の中から5行を7分で覚えて、家にある人形に向かって視線を逸らさないように・・・と繰り返して行いました。
すると、効果はすぐに表れました。一ヶ月も経てば、5行では物足りなくなり7、8行で時間も5分に設定してできるようになったりと、自分で変化がわかるほどセリフ覚えが良くなったのです。
人前でやっていなかったので、友人にも手伝ってもらい挑戦しましたが、それでも確実に変わりました。不得意が故に、できると喜びは倍増でした。
【大切なことは?】
この世の中には、一度で台本を暗記してしまう人も存在します。羨ましい限りですが、セリフ覚えが悪いからといって役者をやってはいけないというルールはありません。こんなにセリフ覚えが悪かった私も、克服することができたのですから、皆さんにもできます!!
セリフ覚えは面倒な作業です。しかしトレーニングや自分に合った方法を見つける作業を日頃から準備しておくことで自分を楽にしてあげられます。
そして、これから皆さんが関わる仕事で、緊急時に他の役をカバーしないといけない瞬間があるかもしれません。その時、わずかな時間で台本を覚えて演出家やプロデューサー、役者仲間に、一目置かれるチャンスがあるかもしれません!! 役者が売れていくきっかけは意外とそんなところにあるのです。偶然にめぐってきたチャンスを掴める準備をしておいても良いのではないでしょうか?
また「こんな覚え方もあります!!」などといった声もお聞かせください。
CO-2N
緊張しない方法とは?
人前で何かを話すとき、会社でプレゼンをするとき、好きな人に告白するとき、オーディションの時・・・
こんなときに付きまとうもの。それは「緊張」ですね。
「緊張しないためにはどうしたら良いですか?」
と質問を受けることがあります。私は
「なぜ緊張するのか考えてみて」
と聞くようにしています。
「絶対に失敗できないから」「受かりたいから」「偉い人が前に沢山並んでいるから」「自信がないから」「よくわかりません・・・」
などと、人によって様々です。この世の中には緊張をしない人は存在しません。皆さんからそう見えている人は緊張と上手に付き合っているだけなのです。
それでは、どうしたら緊張と上手に付き合っていけるのでしょうか?
【緊張の正体】
日常の様々なシーンで緊張は付き物です。これは人間の身体に備わっている危機を察知する能力で、防衛本能というものが働きます。例えば、山で目の前に熊が現れたら「まずいぞ・・・どうしよう?」と思いますよね? これと同じです。寝坊して遅刻をしたときにも「怒られる・・・どうしよう?」と思うことと変わりません。緊張状態の時は自律神経が乱れて、変な汗をかいたりしますよね? 汗が出ることを自分の意思で止めることは不可能ですよね?
答えを言ってしまうと・・・
緊張しないことは、不可能です!!
【緊張しないで!!】
小学生や中学生の頃に、学芸発表会や、朝礼で全校生徒を前にして話す機会があったかと思います。このときに緊張している生徒に、先生は「緊張しないの!」などと声をかけていたと思います。小さな頃にこのような経験を積んでいると・・・
「緊張してはいけないんだ・・・」
と脳内に記憶されてしまいます。
これによって緊張しないように努力をしようとする結果「良いところを見せないと!」「失敗できないぞ!」と自分で自分にプレッシャーをかけてしまうのです。
では、あなたが学芸発表会や朝礼で話す人を見ているときに、その人の格好よさを気にしたことはあるでしょうか? 自分の気になる異性でない限りは、そんなことを気にしませんよね? 緊張している人が話していると「大丈夫か?」「頑張れ!」と思ったのではないでしょうか?
【緊張しなさい】
私は出会った恩師に「どんどん緊張しなさい」と言われた経験があります。これが初めて「緊張しても良いんだ・・・」と思えた瞬間でした。そして自分の力を発揮できたのも、このときが初めてでした。
緊張すること = いけないこと
ではなく・・・
緊張すること = 仕方のないこと
なのです。
【悪い緊張】
緊張は、人によって、シーンによって様々なパターンがあるかと思います。ではあなたにとって今まで経験した緊張はどんなものでしょうか?
・ 準備不足。
・ 良いところを見せたがる。
・ 「失敗したらどうしよう」と思っている。
これらは代表的な悪い失敗です。これの真逆にあるのが良い緊張です。
・ 準備はしっかりできた!
・ 自分らしくやろう!
・ 失敗を恐れるな!
【緊張しないとどうなる?】
では、緊張しないとどうなるでしょうか? 「緊張感がない」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、まさにその状態に陥ります。
・ 油断をしやすくなる。
・ 集中力が散漫になる。
・ 違うことを考えてしまう。
など、緊張しなければ良いという問題ではないことがわかりますね。役者さんで「初舞台は全く緊張しなかったのに、芸歴を重ねた今が一番緊張する」と仰る方がいます。これは役者にとても重要なことで、人前で表現することに対する緊張感が現れた証拠と言えるでしょう。
【まとめ】
「緊張」という言葉に悪い印象をお持ちの方は、今すぐに抹消しましょう!! 緊張は、あなたのパフォーマンスに悪影響を与えるものではありません。むしろ、良い影響を与えてくれる味方なのです。「緊張とお友達に・・・」とよく言われたものです。
いつでも準備万端で大一番を迎えられるように、日々コツコツと努力をしましょう。それが自信につながり、あなたと緊張との距離を縮めてくれることでしょう。
今、一番読むべき本を・・・
しばらくの間、パソコンが壊れてしまい更新が滞ってしまいました。
今日より復帰します!!
以前、読書の必要性について書かせていただきました。
現在でも月によって様々ですが最低でも15冊以上は本を読む習慣を続けています。その中で、若いうちに読んでおくべき本を紹介します。
演技上達のために本を読むことも大切なのですが、皆さんは演技が上手くなることだけが目的ではないですよね? それによって、どんな夢を掴みたいののか? が最優先されると思います。
どんなに演技が上手くても自分の出演したい舞台や演出家の下で役者をできない人は山のように存在します。この世界に限らず、世の中は厳しいものです。それは私が身をもって体験してきたことですし、今でも感じます。
そして役者といえば・・・
・ お金がない
・ 目標が明確にしにくい
・ 仕事が安定しない
といえば皆さんも納得がいくでしょう。それが故に不自由なことも多いでしょう。お金がないからカップラーメンばかりの生活や好きな服が買えなかったり、旅行もできなかったり、レッスン代はワークショップで高額を吸い取られ・・・(それが身になれば高額でも良し)苦労していることでしょう。
今日紹介する本は、生きていく上でのお金や人間関係など、多くの人が悩むことについて向き合うための本です。と言っても説教をされているような気分になる本ではなく、物語形式で優しく書かれている本です。
私はこの本を読んで「もっと早くこの本と出会っていれば・・・」と思いました。しかし、このタイミングで出会ったことは自分にとってベストなタイミングだったのだと感じます。
これだけの付箋を貼りました。付箋のところを読み返して、もう一度最初から読んでしまう・・・という罠にはまっています。
タイトルが堅いな・・・と思われる方も多いと思いますが。私もそうでしたが心配無用です。
・ お金が足りない
・ 人間関係で悩んだことがある
・ 自分の目標が明確ではない
・ 今の生活に不自由を感じる
・ 将来が不安だ
どれか一つでも当てはまるのであれば、買いです!!!!
これは間違い無いです!!
お金持ちになりたい人は多いと思いますが、お金持ちになったら何をしたいのか? 家を買ったり車を買うならお金持ちではなくても達成できます。生活レベルを上げたい? お金とは本来どういうものなのか? 具体的にいくらあれば満足なのか? 金持ちとはどのくらいの人のことを指すのか? 金持ちになれれば人間関係も良好なのか?
どうすれば幸せなのか?
私たちが生活する上で切っても切れないのがお金です。元々はただ交換する物でしかなかったお金。最初は「貝」がお金の代わりだったことをご存知でしょうか? それが漢字に名残として残っています。
「圓」「買う」「購入」「貯金」「売買」
などの言葉には「貝」という漢字が入っていますね。それが今の時代、お金によって人生が成功した人もいれば、命を落としてしまうような事件もあります。
何をもって豊かなのでしょう?
役者で金持ちが少ないのに、活き活きしている人が多いのはなぜでしょう?
私は、自分が教えをしている生徒には役者としての技術が向上することよりも豊かな心で人に優しくあってほしいと願っています。人と関わる仕事において、人に優しくできない人は役者としてだけではなく芸術に携わる資格が無いとまで思います。
もし、これを読んでも何も自分の中に芽生えなかった。新しい発見がなかったという方がいたら、じっくり話を聞かせていただきたいくらいです。
まずはシリーズ1を読んでみてください。おそらく自ずと2、3も手に取ってしまうと思いますが・・・
スタニスラフスキーシステムとは?
演技を学んでいく中で、勉強を常にしなければいけないのは宿命ですね。
今日はそんな演劇人にとっては避けては通れないであろう人物と本について紹介していきます。
タイトルにもありますが今日は・・・
です!!
聞いたことない方もいるかもしれませんが、これをきっかけに学ぶもありです!!それではいきましょう・・・
【スタニスラフスキーとは?】
コンスタンチン・スタニスラフスキー(1863〜1938)
ロシア帝国ソ連出身の俳優であり、演出家としても活躍された方です。このスタニスラフスキーとは芸名で、本名は「アレクセーエフ」と言います。
シェイクスピアの『ヴェニスの商人』『十二夜』チェーホフの『ワーニャ伯父さん』『かもめ』『桜の園』『三人姉妹』ゴーリキーの『どん底』
などの演出を手がけました。有名な作品ばかりなので聞いたことがあるかと思います。自身の演出経験から役者の自然な演技を引き出すために考案されたのが
「スタニスラフスキーシステム」です。
いったいどんなシステムなのでしょうか?
【スタニスラフスキーシステムとは?】
約100年前に作られたにも関わらず、現在の役者にも通じる演技上達のためのシステムです。
詳しいことは本を読んでいただいた方が細部まで理解していただけると思いますが、ざっくり説明すると・・・
「自分の脳内で脚本に基づく仮想世界を構築することで、身体表現や感情のリアルを引き出していく」
というシステムです。
ん? それは演技のレッスンで毎回やっているな・・・と思われる方も多いでしょう。私も最初はそうでした。しかし、わかっているのにできないのが演技の面白いところです。そしてそれをやっているということは既にスタニスラフスキーシステムに足を突っ込んでいるということです。
この仮想世界を自分の脳内でどこまで具体的に作り出せるか? ということが重要になってきます。
レモンや梅干しを口に入れたイメージでヨダレが出てきたり、雪の日を想像すると鳥肌がたったり、人が怪我をする動画を見ると心拍数が上がったりと日常で働く想像力を演技に持ち込むのもその一種ですね。
私もまだまだスタニスラフスキーシステムは勉強中です。しかし、そのための本を探すとページ数が膨大で、書いてあることを理解するまでに時間がかかります。しっかりと理解を深めるにはワークショップに高い金額を払って参加するか、分厚い本を時間をかけて読むことしかありません。
【注意!!】
下にスタニスラフスキーシステムを知らない人でも読みやすい本を紹介します。しかし!! 注意事項があります。日本だけでも様々な演技のメソッドがあり、世界に広げると更に山のようなメソッドがあり、どれが正しいのかわからない!! と混乱してしまう方がいます。前にも記事に書いたように演出家によって技法は異なりますので、このシステムに深い共感をしたとしても「スタニスラフスキーシステムが一番正しい!!」と決めつけないことです。あくまで、あなたの演技の幅を広げるための勉強だと思ってください。昔、仕事をした役者で「スタニスラフスキーはこう言っていましたよ!!」と演出家に反論し、叱られた人を目の前で見ているので一応注意書きとして加えました。
【スタニスラフスキーへの道】
私も久しぶりに読み返しましたが、これはわかりやすいです。「難しい!!」と思う箇所は飛ばしても良いので一度読んでみる価値はありますので、おすすめです!!
都内の大型書店でも置いていないところが多いのでリンクを貼っておきます。
CO-2N
映画『search』を観るべき人・・・
10月26日(金)に全国公開された『search』を観てきました。
↓こんなのです↓
監督はアニーシュ・チャガンティさんというインド系アメリカ人の方です。なんと
27歳!!
若い!!
【キャスト】
ジョン・チョウ
デブラ・メッシング
ジョセフ・リー
ミシュラ・ラー
言われても聞いたことない・・・という方が揃っています。ジョン・チョウさんは『スタートレック』などにも出演されている方ですが、全員映画界のスターではない・・・しかし!! それが良かったと私は思います。
【あらすじ】
映画はすべてパソコンの画面上で行われる。現在のSNSでやりとりが行われる時代に家族の連絡も友人との会話も・・・ある日、16歳の娘マーゴットと連絡がとれなくなり、行方不明に。詳細がわからぬまま37時間も経っても事件は謎のまま。父のデビッドはマーゴットのパソコンにログインし、Facebook、Instagram、Twitterにアクセスするが、娘の姿は父親の知る姿ではなかった・・・事件の真相はいかに?
こんな感じです。全編パソコン画面で事件を解決していく仕組みは、まさに現代の世の中を映し出しています。そこにこだわっているのが良い点も悪い点も双方あります。
そして、映画のスクリーンでWindowsやMacBookの起動音や操作音が流れてくるのは不思議な感じがします(笑)
【こんな人に観て欲しい!!】
自分がSNSに依存している・・・そうでなくてもSNSを使用している人にとっては画面にFacebookやYouTubeなど、自分が日常で使っている画面が同時に表示される映像はなかなか楽しめます。
この映画はサスペンススリラーという括りをしているようですが、前半で伏線をばらまいて、最後に回収するという日本の小説でいうとミステリーに分類されるジャンルです。「最後にスッキリしたい!!」という方には堪らない作品かと思います。
「家族」の話です。親に素直になれない方、子供と距離を感じる方・・・家族愛に飢えている方も観るべきです!!
『カメラを止めるな』にハマった人(笑)内容は違いますが、2回観たくなる映画です。
『シックスセンス』や『シャッターアイランド』などが好きな方もぜひ!!
【こんな人は観ない方が・・・】
アクション映画が好きな方はDVDを待って良いかもしれません。映画ならではの迫力を楽しみたい人には物足りないでしょう。
そもそも、ミステリーやサスペンスが苦手な方。
SNSを利用していない。SNSに詳しくない方にとってはなにが行われているのかわからないでしょう。
【感想】
個人の感想としては、満足です。しかしミステリーに肥えている人にとっては王道かもしれません。内容よりも映画の進行がパソコン画面上で行われることがとにかく凄いです!! 「そういうやり方ならできるね!!」と考えさせられました。
この進行が故に、主役のデビッドやマーゴットがパソコンに依存した家族のように映ります。しかしこれは仕方ないのかな・・・と思います。
監督が若いからこそ実現したと言える作品なのかな? と思います。自分が探偵になった気持ちになって観ると楽しめること間違いなしです。
まとめ
めずらしく映画の記事でしたが、自分の観たものをアウトプットする場としても活用していこうかと思います。
CO-2N
多方集中を身につける
なにをやるにも集中することは大切ですね。
しかし「集中しすぎる」というのもどうなのでしょうか?
書いて字のごとく「集める中に」というのは1箇所に集めることを指しているため、周りが見えていない状態でもあると言えます。必要な集中力とは何でしょうか?
あなたは集中力がある?
正直に言うと、私は集中力がない方だと思います。それでも役者をやっていて、本番で大事故になることはおこしていませんが・・・小さな頃から「集中しなさい」と叱られてきましたが、大人になるにつれて集中することは自分が思い描いていたものと違うことがわかりました。
さて、あなたは自己評価で集中力があると自信を持って言えるでしょうか?
集中ってなに?
私は多くの日本人が集中という言葉を勘違いしているように思います。「自由」の時にも書きましたが、漢字は私たちが生まれるよりも前に誕生しています。ここ数年でも時代が大きく変わっている中で本来もっている意味が今の時代に合っていない言葉は多く存在します。集中もその一つで、本来は一点集中などと言った一つの物事にまっしぐらに向かう様などで使われていました。
「一所懸命」と「一生懸命」がとてもわかりやすい時代によって変化した漢字の代表かと思います。
しかし「集中」は姿を変えません。
役者に必要な集中とは?
役者全員が一点集中をしていたらどうでしょう? 極端な話をすれば、人のセリフも聞けなければ、できたとしても2人の芝居だけでしょう。3人だと集中が分散してしまうからです。しかし皆さんが芝居をしていく上での集中力とはもっと違う種類でなければいけません。役者には同時にこなすべきことが多く存在します。「セリフを喋る」「セリフを聞く」「動く」「照明に入る」「物を持つ、置く」「出る、はける」「食べる、飲む」「歌う」「踊る」「音を聞く」など挙げだしたら切りがないでしょうが、これを複数同時に何パターンも行います。セリフを聞きながら椅子に座り、喋りながら小道具を使うこともあります。時には舞台上でおこったイレギュラーなことにも対応しなければいけません。
つまり役者に必要な集中力は一点集中ではなく、多方集中になります。
多方集中は誰でもできる!
これも書いて字の如く「様々な方向に集中を向けること」です。しかし、わかっていてもできないのが演技の面白くも歯がゆいところですね。日常ではそんなシーンが多くあるのに、演技になるとできないのです。友人とご飯に行く時、無言で食べていますか? 家でご飯を食べる時にテレビを見ながら食べませんか? 携帯を見ながら飲み物を飲んでいませんか? 皆さんは表現としてやる時に発揮できない理由は日常では無意識に行なっているからです。
どうやって鍛えるの?
オリジナルで方法を見つけることもアイデアを生み出す練習になりますが、空中に向かって右手は四角形、左手は三角形を描くように手を動かしてみましょう。
どうでしょうか? なかなか単純なことなのにできない方が多いかと思います。これは右で4拍子、左で3拍子をしていることと変わりません。難しくてできないという方は右手を三角形、左手を縦に一本の線を描くように(2拍子)でやってみるところから始めましょう。
難易度を上げていくと、右手は四角形、左手は円を描いてみましょう。これは最初からできる人を見たことがありません。
まとめ
上記のトレーニングは人によっては難しくてできない人もいるかもしれません。しかしうまくやることが目的ではありません。やっている過程が大切です。できないことに対して「どうやったらできるようになるのか?」「こうしてみよう!」と工夫することで脳が活性化されるそうです。つまり役者の集中力を身につけるためには多方集中を意識的に取り入れることが重要です。日常でできている多方集中ができないはずがありません!!
CO-2N
出会った人を大切にする心
今日は日常の出来事を・・・
先日、友人と再会してその流れで同期が集まりました。
7年前に出会った同期です。当時は同じステージに立ちながら、切磋琢磨した戦友でもありますが、現在は環境を変えつつ芸術の分野で活躍しています。
離れたからこそわかることも沢山あり、先日会った2人には共通することが多いな・・・と感じることが多いのです。それは、この世界で生き抜くためには必要な要素だと思いました。
「好きなことに熱中する」
これは当たり前だと思いますが、芸術分野では好きだけど熱中するまでに至らない人は沢山います。彼らは器用なタイプではありませんが、心から芸術を楽しむタイプです。文句を言っているシーンは見たことがありません。そんな暇があるなら練習しています。
熱中するからこそ、悔しい思いは人一倍強く感じることがあるそうですが、それを乗り越えるための努力を努力と感じずに楽しんでしまうのは最高の武器だと思います。多くの人が「思っていたのと違う・・・」「上手くできないからごまかそう」「これは苦手」と自分で限界を決めて諦めてしまうでしょう。先日紹介した『神メンタル』を読まれた方はわかると思いますが、自己評価はその先に進むためのステップを制御してしまいます。ネガティブな要素を楽しむことで乗り越える力を私は彼らから教わりました。
「人に好かれる」
彼らはどこの現場に行っても人に嫌われません。これを話すと「私は人見知りだから・・・」という方が出てくるでしょうが、彼らも人見知りする部類の人間です。それでも現場で彼らと二度と仕事をしたくないと思う人は絶対にいないだろうと確信できます。それは挑戦心があるからです。自分が初めて挑戦することにも果敢に向かっていき、できなくても諦めません。「自分はこういうジャンルは得意だけど、これはちょっと・・・」となることはないでしょう。彼らは・・・
自信があっても過信しないのです。
この自信と過信はボーダーラインが難しいところではありますが、大きな違いです。
・ 芸術分野で長いレッスン歴がある。
・ 過去に大きな作品に関わった。
・ 大会で功績を残した。
などの人には過信になりやすい要素が多くあります。もちろん、全員ではありません。あくまでなりやすいというだけですので誤解しないでください。立派な経歴でも過信せずに第一線で活躍する方は多くいらっしゃいます。しかしその過信は人の成長に大きな妨げを生み出します。
「今に夢中になる」
役者を含め、芸術分野で仕事をしたい人には収入の不安定が常に付きまといます。それ故に「将来はどうすればいいのか・・・」「このままだと売れない」「生活ができない」などの不安で先のことで頭がいっぱいになってしまいます。しかし、彼らは今を夢中に楽しんでいます。これは先のことなんて考えるなと言うわけではありません。しかし、先のことを考えすぎて今やるべきことを見失うのは本末転倒です。来年自分がどうしているのか? そんなことはなってみなければわかりません。そこで悩むのは時間の無駄です。それなら将来のために今に夢中になるのです。どんなに金持ちでも5年後10年後の未来を確実に言い当てる人はいません。彼らはその力で人との繋がりや信頼を勝ち取り、この世界で活躍しているのです。
「人と比べない」
どうしても他人と比べてしまうのは人の性と言えるでしょう。それでも、芸術で人と比べても自分にとって得なことはありません。ライバル視している人の強みをあなたは持っていないかもしれません。それは、その逆もあるということです。芸術分野には順位を決める○○賞というものが多数存在しますが、それを受賞した作品や人が良い作品だということは数値で表すことはできません。自分が今できることに必死になればそれでいいのです。他人と戦わずに自分の人に嫉妬してしまう心と戦うべきです。
まとめ
人がいなければ芸術は成り立ちません。それが故に人と争ってしまったり、比べてしまって人に嫉妬したり、嫌いになったり・・・人間関係のトラブルは絶えません。それでもあなたにとって良い影響を及ぼしてくれる人も人です。「嫌われる勇気」という本では人間の悩みを生み出す原因のほとんどが人間関係だと書いてあります。私たちは他人に見られることが仕事です。切っても切れない関係に逆らうのではなく、寄り添える優しさが必要です。人から学び、自分も人に影響を与えられる人間がこの世界で長く活躍する人を生み出していくでしょう。親や友人や恋人やお客さん・・・あなたの心に栄養を分けてくれる人は意外に近くにいるものです。私もそれを久々に会った友人から学びました。
CO-2N
真摯と謙虚と○○○は最強の武器である!!
男と女の考え方が違うように、対極の関係になるものは常に対立しやすいですね。
先生と生徒、親と子供、与党と野党、上司と部下、犬と猫、正義と悪・・・
そして演出家と役者である。
しかし、考えてみればこの対立しやすい関係を良好にすることで解決できることは沢山あると思います。
現場で演出家と役者が一悶着・・・なんてシーンは珍しいことではありません。パワハラだと騒がれる世の中になってからは、更に頻度が増した気がします。どうすれば良好に進むのでしょうか?
役者の仕事とは?
役者を仕事だと捉えられない人が多いことが現実です。それは現場に立った回数がものを言う訳ではありません。「役者で食っていく!!」と強い信念をもって稽古に来る人を見てきたからです。
皆さんが芸術を鑑賞する時はどんな理由でお金を払うでしょうか? 好きな役者が出ているから? この作品の監督はハズレがないから? CMを見ておもしろそうだから? 知り合いが出ているから?
様々な理由があるでしょうが、お客はお金だけを払っているわけではありません。そこに来るまでの時間。上演、上映されている間の時間も犠牲にしているのです。その分をプラスの対価で返すのが役者の仕事です。役者だけの力でどうこうなる話ではない時もありますが「この作品はつまらないよ」「今回はダメ」と言って手を抜く役者は二流です。無駄口を叩く暇があるのであれば、そのつまらないと思っている作品を少しでも良くするためにできることを考えるべきなのです。
演出家の仕事とは?
演出家という仕事は人によって、その団体によって役割が変わってきます。しかし役者は演出家を選ぶことはできません。「あの人が演出だから出る!」と絞っていては、あなたは役者として小さな世界の中で終わってしまいます。
演出家で勘違いしていることの多くが「出演者を決めるのは演出家」というところでしょう。残念ながら演出家はその作品の役者や舞台全体の流れを希望することはできますが、キャスティング権を全て握っているわけではありません。プロデューサーや制作がOKを出さないと実現しないことは山ほどあります。しかし役者はどうしても演出家が選ぶものだと勘違いします。そういう団体もありますが・・・
では演出家の仕事とはなんでしょう?
基本はその作品をより効果的に見せる為の役者の動きや舞台セットや照明、音響を統括する仕事です。つまり役者の演技にだけ全てを注げるわけではないのです。私の出会った演出家には「稽古場を含めて全てが円滑に進むことに最大の力を注ぐ」という方もいらっしゃいました。団体によって演出家の仕事のスタイルは異なります。ですが、常に作品を良くしようとする意図だけは変わりません。おや? これは役者と同じ思考ではないでしょうか?
真摯さがあれば・・・
真摯な態度で稽古をしていると脱線することはないでしょう。しかし役者も人間ですので自分の考えがあります。自分のやりたい表現も生まれて当然です。しかしそこで考えましょう・・・自分がそれをやることで周りにはどんな影響がおこるのか? それを考えずに演出家に意見をするのはあまりにも勝手な行為です。演出家の指定された動きの範囲でできることには挑戦するべきですが、作品を通して考えた時の状況を把握することが大切ではないでしょうか? とは言いつつも、全体を見ることは難しいですよね。だから演出家がいるのです。役者は自分の与えられた演じるという行為を真摯に遂行することが仕事です。
謙虚になれない人・・・
人間は簡単に調子に乗ります。ちょっといい役をもらったら天下をとったような気持ちで浮かれます。内心で喜ぶことは良いでしょう。それをアピールすることは余計なことです。私はそれで現場から消えていった役者を何人も見てきました。その逆で謙虚さを忘れずに今も現役で役者をやっている先輩も沢山います。その方達の多くは演出家からのダメ出しに対して言い訳や口答えをしません。「はい、わかりました」と返事をして言われたことをこなすために必死になります。それができると更に難しいダメ出しがきます。私はその現場を見て、この人はプロだ・・・と感じました。どんなに役者としてキャリアを積んでも、謙虚な人は息の長い役者として仕事をしていけるのです。不器用な役者でも謙虚さだけでこの世界に残っている人もいます。こういう人は演出家からの信頼を勝ち取るのです。
○○○とは?
真摯と謙虚・・・頭ではわかっていてもできないものです。それを助けるのが「素直さ」になります。言われたことに挑戦する心も素直であれば挑めます。多くの役者が自分の考えと違うことを言われると「私の考えの方がいいのに!」と思います。しかし素直な役者は「それは新しい! やってみよう!」と考えるのです。現場で出会うベテラン役者は、みんな子供のように素直に取り組み、なんでも吸収しようとする姿勢があります。若者はどこか小っ恥ずかしい気持ちが先行して強がってしまう気持ちが勝ってしまいます。素直さは役者でなくても日常でも武器となります。
なんでもやってみて上手くいかなければやめればいいのです。やる前から諦めてしまうことは損をします。素直に挑戦した結果、新しい発見があれば儲けもんです。
まとめ
ここまで演技の技術については多くを語っていません。それはレッスンや稽古にきても身にならない時間を過ごしていては成長が何十、何百倍も遅くなるからです。自分が好きだから始めた役者という道・・・上達しなければ仕事にはなりません。演技の技術を学ぶ前にやるべきことは沢山あります。しなくてもいい勉強はないといっても過言ではありません。素直に挑戦できる気持ちを日常から身につけましょう。
CO-2N
「自由に演技しなさい」という悪魔のささやき
演劇のレッスンでは前回の発声シリーズと同じように、演出家の言葉というのは役者に大きな影響を与えると共に、自分の演技を最大限に引き出してくれる力もあり、その逆である負の連鎖へと導く場合もありますね。
今回は「自由」とはなにか? 考えていきましょう。
自由に演技しなさい
稽古場で演出家や演技指導者が「自由に演技しなさい」であったり、名高い演出家たちが「演劇は自由だ!!」と言うのを耳にします。皆さんも聞いたことがあるかと思います。しかし、いざそのシーンをやってみると「それじゃないんだよな」「違う!!」と言われた経験やそんな場面に立ち会ったことはないでしょうか?
その度に私は「自由って言ったじゃん・・・」と心の中で声になりそうなのを必死にこらえていました。
演技は自由ではない
結局、演技は自由ではないと割り切ったのは最近です。全員が自由な演技をすれば台本が求めているものを表現できないのは分かりきっていますね。これが本番になれば、照明の当たる場所に自分が入らなければいけないという不自由が生まれ、映像であっても画角に収まるように動ける範囲を指定される不自由が生まれ、音響さんが流す音のきっかけで動く。または自分のセリフがきっかけになる場合はわかりやすいようにセリフを言わなければいけないという不自由・・・挙げたら切りがありません。
自由に演技をするって一体どういうことなのでしょうか?
自由とはなにか?
そもそも「自由」という言葉はどういう意味なのか? 英語では「Freedom」「Liberty」ですが現在ではどちらの意味も同じになっています。日本語の「自由」を生み出したのは諸説ありますが、皆さんが知っている人物では福沢諭吉だと考えられているそうです。
自由とは
「自らを由(根拠)する」
と読む仏教用語からきているようです。すべて自分を理由にする・・・つまりは
「自分が行ったことに責任を持つ」
という意味があります。
日常でも自由を使いこなせていない
友人や恋人と昼食や夕食をする際に「どこ行こうか?」と言われて即答できる人はあまりいないでしょう。この時も自由な選択肢があるのに「なんでもいい」と人に任せる人がどれだけいるでしょうか?
もっと遡ると「今日は自由に作文を書いてください」と言われてすぐに書き出せた人がクラスに何名いたでしょうか? 人によっては1時間ずっと何を書くか考えているだけで終わってしまった人もいた記憶があります。夏休みの自由研究でも同じことが言えますね。
私たちにとって「自由」という言葉は行動を不自由にしてしまう傾向にあるようです。
どうすればいいの?
それではどうすれば自由を使いこなせるのでしょうか?
答えは簡単です。ルールを決めて選択肢を絞ることです。
上の例でもご飯の行く先を決めるときに「昼は中華だったから、違うものにしたい」「海鮮が苦手なんだ」「ご飯系? 麺系?」など選択の幅を絞っていくと決めやすいですよね?
作文も先生が「友達について書きましょう」「夏休みの思い出を書きましょう」などとテーマを指定してくれると書きやすさが増します。
演技で考えてみましょう。そのシーンで何を目的としているのか? を先に考えるのです。喜びを爆発させるシーンなのか? 怒り狂ってしまうシーンなのか? 重大なキーワードを話すシーンなのか? このシーンの目的を理解せずに演技をすることを私はとても重要視しています。自分たちが伝えたいことが何かもわからないのにお客さんに表現することは役者としてあまりにも無責任な行為です。そのシーンの目的が達成されるのであれば、それ以外は自由でいいと思います。稽古場で演出家が望む自由とは、このことです。そこから効果的に見せる手段を考えて決定する権利があるのが演出家です。
役者が自由を手に入れるには自分がシーンの目的を達成するという責任を背負った上で演技をすることが重要なのです。
まとめ
自由という言葉は危険な言葉であること、実は自由に縛られていることがわかったと思います。しかし、日常から自由と上手に付き合っていくことが演技でも活かされるでしょう。演技上達のヒントは稽古場だけに潜んでいるとは限りません。生活のふとした瞬間にも成長のチャンスやきっかけがあることを覚えておいてください。
CO-2N
明確な目標はありますか? 1年後の自分は想像できますか?
あなたの目標はなんですか? 夢というと手の届かないもののように感じてしまいますが、目標だと自分の努力でどうにかなりそうな気がしませんか?
役者であってもそうでなくても、目標は皆さんの中に必ずあると思います。それが大きなものでも、小さなものでも構いません。そこから一歩踏み出して・・・その目標達成のために、日々努力していることはありますか?
「それを言わないでくれ!!」と思われた方もいるかもしれませんが、今日はそんな「目標」について書いていきます。
目標達成のためには
役者であれば「この舞台に立ちたい!!」「この作品のあの役をやりたい!!」「売れてお金を稼ぎたい!!」など、皆さんの中には様々な目標があるでしょう。一般職の方でも「昇進したい!!」「給料を上げたい!!」「結婚したい!!」など、人間には常に欲があって当然です。しかし、私の生徒を含め、そのために日々努力していることはありますか? というと口を閉ざして苦笑いしてしまう生徒が多いです。気持ちはとてもわかりますので、そこは責めません。さて、皆さんはどうでしょう? 地道に積み重ねていることなどはありますか?
役者のゴールとは?
もしあなたが役者としての目標が達成されたら、即引退でしょうか? 女性であれば、「この舞台に立てたからお嫁に行って専業主婦になる」なんて考えもあるでしょう。それも立派な目標ですので、否定しませんが役者は本当に欲張りな人の集まりです(笑)
おそらく次の目標を立てることでしょう。「次はこの舞台に出たい!!」「次は映像もやりたい!!」「CMにも出たい!!」など切りがありませんが、そう思うことは普通のことのように感じます。私の周りにも目標達成した仲間がたくさんいますが、そこで役者を即引退した人はいません。次から次に目標を達成して行くにはのんびりと運任せでやっていると、あなたの年齢が若くても時間が足りません。高みを目指すには今からでも遅いと自分のケツを叩くべきです。
俳優の市村正親さんは、現在も数多くの舞台で活躍しているのはご存知でしょう。劇団四季でも主役の座を射止めて、退団後から現在も主演舞台を山ほどこなしています。役者としては理想の姿でしょう。そんな市村さんですが、現在も自分の本番前の朝にバレエのレッスンを受けてから劇場に行かれるそうです。市村さんの今の目標はわかりませんが、どんなに歳をとっても自分を高めようとする意識は見習いたいものです。
素晴らしい先輩との出会い
私は稽古場に行くのが早い人間です。それはしっかりとウォームアップをしないと気が済まないのと、遅刻をしたくないからです。「お前早すぎるよ?」と言われることも多々ありますが、稽古や本番に100%の力を注ぐためには譲れない決まりです。しかし、私よりも早く稽古場に現れるYさんという大先輩がいらっしゃいました。Yさんのウォーミングアップは、人並み外れた強度で行なわれていました。ランニングや筋トレ、体幹トレーニングにストレッチを2時間以上も黙々とこなしています。普通の人なら、これだけでクタクタになります。
ある日、その舞台の千秋楽後に打ち上げでお話しさせていただく機会があり朝のウォーミングアップの話をしました。するとYさんは・・・
「私は小さな頃からバレエのレッスンの日々を過ごしてきて、自分の中で決まったアップをしないと本番に立つ時に不安になる。他の人がギリギリであろうが本番がしっかりできれば、それは個人個人で準備にかかる時間が違うから仕方のないこと。」
と仰っていました。Yさんにとっては習慣として寝る前に歯を磨くくらい当たり前の行為だったのです。もちろん言うまでもなく、Yさんは表現者として技術も人間性も素晴らしい方でした。この習慣にしてしまうことは重要なことではないでしょうか?
現状に満足していますか?
レッスンの際に「自己紹介シート」というのを生徒に書いてもらうようにしています。これは今の自分を理解しているのか? を調べるもので項目は・・・
1 趣味・特技
2 自分の役者としての長所
3 自分の役者としての短所
4 目指している役者像
5 演技で疑問に思っていること
です。
生徒には、これを5分以内に書いてもらいます。当然、書ききれない生徒はたくさんいます。すべて埋めることが目的ではなく、今の自分を理解しているか? が大きなポイントになります。ペンが止まってしまう項目は必死に考えます。その考える時間が重要です。
自分の理想に到達するためには、現在の自分を分析する必要があります。成人を過ぎてから野球をやったことがない人が「プロ野球選手になる!!」と言い出したら、周りは止めるでしょう。しかし、それに近いことをやってしまっている人が多いのも現状です。
このワークで生徒がスラスラ書けるのは3番と5番です。逆に書けないのが2番です。自分の長所を聞かれてスラスラと書ける人はなかなかいません。
つまり、今の現状に満足できていない。自分のセールスポイントがわからない状況で大きな目標を立ててしまうことになっているのです。
『神メンタル』
前回の「すごい読書術」と並んで影響を受けた本を紹介しましょう。これは目標を達成したいけれど、どうすればいいのか? 自分の理想はあるけれど行動に移せない人は必見です。
私は、かつてこんなにも本に付箋を貼ったことがありません。どんな人にもある目標を達成させるための考え方や行動をどうすればいいのか? 著者である星渉さんは独立、起業したい人をはじめ、経営者、弁護士、税理士、アナウンサー、モデル、舞台女優、スポーツ選手、デザイナーなどの様々な職業の方を8000人近くプロデュースしてこられた経歴を持つ方です。
先日、王様のブランチでも書籍のコーナーで紹介され、4万部突破のベストセラーとなっています。
こちらも、科学的に解明されたデータをもとに、どうすれば目標を達成できるのか? 好きなことを仕事にするには? がコンセプトで書かれています。自分のことをチェックするページもあり、心理テストをやっているような気分にもなれます。
「よくある本だよな・・・」と思いつつ、「はじめに」の項目を立ち読みして即購入しました。書店で売り切れているところもあるみたいです。ぜひお手にとってください。
CO-2N